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リソソームミクロオートファジーによるエンドソーム分解機構

公募研究

研究領域マルチモードオートファジー:多彩な経路と選択性が織り成す自己分解系の理解
研究課題/領域番号 22H04631
研究種目

新学術領域研究(研究領域提案型)

配分区分補助金
審査区分 生物系
研究機関東北大学

研究代表者

向井 康治朗  東北大学, 生命科学研究科, 助教 (90767633)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2024-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
9,490千円 (直接経費: 7,300千円、間接経費: 2,190千円)
2023年度: 4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2022年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
キーワードミクロオートファジー / リソソーム
研究開始時の研究の概要

ミクロオートファジーはリソソーム膜が直接細胞質成分を取り込む機構を指す。酵母においてはペルオキシソーム、脂肪滴、核などがミクロオートファジーを介して分解されることが報告されているが、哺乳動物におけるミクロオートファジーの知見は限られている。本研究では、ミクロオートファジー機構においてリソソームが細胞内の膜構造を認識して分解する分子機構、及びその生物学的意義を明らかにすることを目指す。

研究実績の概要

ミクロオートファジーはリソソーム膜が直接細胞質成分を取り込む機構を指す。酵母においてはペルオキシソーム、脂肪滴、核などがミクロオートファジーを介して分解されることが報告されているが、哺乳動物におけるミクロオートファジーの知見は限られている。
これまでに、我々は細胞内物質輸送による自然免疫応答分子STINGの活性制御機構を明らかにしてきたが、その解析の中で、STINGがミクロオー トファジーによって分解されることを示唆する予備結果を得た。興味深いことに、この過程はリサイクリングエンドソーム由来の小胞の集まり をリソソームが直接貪食する機構であった。本研究ではSTINGをミクロオートファジーのモデル基質として利用し、遺伝学的スクリーニング、 超解像ライブセルイメージング、プロテオミクス解析を駆使することで、リソソームが細胞内の膜構造を認識して分解する分子機構、及びその 生物学的意義を明らかにすることを目指す。
今年度はGFP-STINGの刺激依存的な分解を指標にしたsiRNAスクリーニングにより、ミクロオートファジーに必要な遺伝子を同定した。 超解像ライブイメージング、及び電子顕微鏡解析を用いて、STINGがリソソームによって包み込まれる瞬間、及び分解される過程の可視化を試みた。その結果、超解像顕微鏡解析によりリソソームとSTINGの動態を生細胞内で可視化し、STING陽性の膜構造がリソソーム に包み込まれる瞬間を捉えた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

今年度はGFP-STINGの刺激依存的な分解を指標にしたsiRNAスクリーニングにより、ミクロオートファジーに必要な遺伝子としてESCRT複合体遺伝子、Tsg101およびVps4を同定した。Tsg101およびVps4を発現抑制した細胞では、刺激後ゴルジ体を通過した後のSTINGがリソソームに取り込まれず、細胞質中に蓄積していることを見出した。さらに、Tsg101の発現抑制およびレスキュー実験から、Tsg101のユビキチン認識ドメインがSTINGのミクロオートファジー分解に必要であることを見出した。また、興味深いことに、STING陽性の膜構造がリソソームに取り込まれる際に、リサイクリングエンドソームタンパク質であるトランスフェリン受容体やRab11の一部がリソソームに取り込まれていることを見出した。この結果から、リソソームによるミクロオートファジーはオルガネラ膜構造を分解する能力を有すると考えられた (Kuchitsu et al., Nat Cell Bilo 2023)。以上の結果は哺乳動物におけるミクロオートファジーに関して新しい知見をもたらすものでることから、当初の計画以上に進展していると判断した。

今後の研究の推進方策

現在STINGのミクロオートファジー分解の分子機構として、STINGのユビキチン化がミクロオートファジーに必要である可能性を見出している。そこで次年度以降は、ユビキチン化修飾に着目してミクロオートファジーの分子機構を明らかにする。具体的には、STINGのユビキチン鎖の結合様式の同定、およびおE3リガーゼの同定を目指す。E3リガーゼに関しては、ハイスループットスクリーニングを行うためにSTINGの分解量を指標にしたマルチウェルプレートベースのアッセイ系の構築を進めている。

報告書

(1件)
  • 2022 実績報告書
  • 研究成果

    (5件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] STING signalling is terminated through ESCRT-dependent microautophagy of vesicles originating from recycling endosomes.2023

    • 著者名/発表者名
      Kuchitsu Y, Mukai K, Uematsu R, Takaada Y, Shinojima A, Shindo R, Shoji T, Hamano S, Ogawa E, Sato R, Miyake K, Kato A, Kawaguchi Y, Nishitani-Isa M, Izawa K, Nishikomori R, Yasumi T, Suzuki T, Dohmae N, Uemura T, Barber GN, Arai H, Waguri S, Taguchi T.
    • 雑誌名

      Nature Cell Biology

      巻: 25 号: 3 ページ: 453-466

    • DOI

      10.1038/s41556-023-01098-9

    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] STINGの恒常活性化に起因する自己炎症・神経変性疾患2022

    • 著者名/発表者名
      朽津 芳彦、向井 康治朗、田口 友彦
    • 雑誌名

      日本免疫不全・自己炎症学会雑誌

      巻: 1 号: 1 ページ: 24-34

    • DOI

      10.34563/jsiadjournal.1.1_24

    • NAID

      130008142173

    • ISSN
      2435-7693
    • 年月日
      2022-01-17
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
  • [学会発表] Lysosomal vesiculophagy terminates STING signalling2022

    • 著者名/発表者名
      Yoshihiko Kuchitsu, Kojiro Mukai, Yuki Takaada, Ayumi Shinojima, Shiori Hamano, Rei Uematsu, Emari Ogawa, Takehiro Suzuki, Naoshi Dohmae, Takefumi Uemura, Hiroyuki Arai, Satoshi Waguri, Tomohiko Taguchi
    • 学会等名
      The 10th International Symposium on Autophagy (ISA2022)
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] 発光タンパク質NanoLucを利用したSTING分解のハイスループットスクリーニング2022

    • 著者名/発表者名
      東海林 紬, 朽津 芳彦, 篠島 あゆみ, 向井 康治朗, 田口 友彦
    • 学会等名
      第74回日本細胞生物学会大会
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
  • [学会発表] リソソームミクロオートファジーによる STINGの分解を介した自然免疫応答制御2022

    • 著者名/発表者名
      向井 康治朗, 朽津 芳彦, 田口 友彦
    • 学会等名
      第95回日本生化学会大会
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書

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公開日: 2022-04-19   更新日: 2023-12-25  

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