研究領域 | マルチモードオートファジー:多彩な経路と選択性が織り成す自己分解系の理解 |
研究課題/領域番号 |
22H04648
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
荻沼 政之 大阪大学, 微生物病研究所, 助教 (50825966)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
5,850千円 (直接経費: 4,500千円、間接経費: 1,350千円)
2023年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2022年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
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キーワード | オートファジー / ターコイズキリフィッシュ / 休眠 / 代謝 / ターコイズキリフィツシュ |
研究開始時の研究の概要 |
近年、オートファジーが多様な経路で誘導され、多彩な役割を持つことが明らかになってきており、オートファジーがさらに未知の重要な役割を果たす可能性が期待されている。本研究は、「発生休眠」と「超速老化」という二つの特徴的性質を持つ小型魚類であるターコイズキリフィッシュを用いて、休眠時において遺伝学的にプログラムされた機構によって活性化するオートファジーの制御機構とその意義を解明する。 制御機構とその意義を解明する。さらに成体組織で老化過程におけるオートファジー活性パターンとその消失の意義を探る。以上によってオートファジーの全く新しい生物学的役割を解明する。
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研究実績の概要 |
近年、オートファジーが多様な経路で誘導され、多彩な役割を持つことが明らかになってきており、オートファジーがさらに未知の重要な役割を果たす可能性が期待されている。申請者は、前回の当該領域公募研究にて、「発生休眠」と「超速老化」という二つの特徴的性質を持つ小型魚類であるターコイズキリフィッシュ(本申請ではキリフィッシュと略)にオートファジー活性レポーターを導入し、その動態を解析することでオートファジーの全く新しい生物学的役割を探索した。その結果、キリフィッシュ休眠誘導過程においてオートファジーの活性化が起きることと、休眠個体においてオートファジー活性化を抑制すると体組織が形を保てず崩壊することを発見した。この事実は、休眠個体の形態維持にオートファジーが寄与することを示唆するが、休眠時にオートファジーを活性化させるメカニズムや、オートファジーが組織形態を保護するメカニズムの詳細は不明である。 そこで本研究では、キリフィッシュ胚をモデルとして休眠時におけるオートファジー活性制御機構とその意義を解明する。申請者は休眠誘導に細胞内pH酸性化が関わることをプレデータとして得ているので、pH酸性化とオートファジー誘導の双方に影響を受ける事が知られている液―液相分離制御と、pH酸性化とオートファジーの相互作用に注目して解析を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は休眠時におけるオートファジーが活性化する意義をオートファジー活性に必須な遺伝子であるFIP200とBecline遺伝子をノックアウトすることで調べた。その結果、オートファジー活性を欠いたこれらの個体は、休眠に入ることはできるが長期休眠させると組織状態を維持できなくなることが分かった。またこれらの休眠胚の状態を詳しく調べた結果、オートファジーを欠損した胚では異常タンパク質の蓄積が観察された。つまり、休眠時に活性化するオートファジーが長期休眠時に体の状態を守る役割があることが分かってきた。現在、本成果をまとめて論文投稿準備中である。 一方で、休眠時にオートファジーが活性化する機構についても解析中である。前年度までに、休眠時に細胞内pHが酸性化することを見いだしており、酸性化がオートファジーレセプターであるp62タンパク質の総分離を引き起こしp62の液滴を形成し、このような液滴がオートファジーの活性場を形成する可能性を見いだしていた。本年度はこの可能性を検討するために、p62にGFPを融合したレポーターキリフィッシュを作製し、その挙動を追跡した結果、酸性化に依存してp62が凝集体を形成することを発見した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は休眠時におけるオートファジー機能を明らかにした論文をトップジャーナルに狙って投稿する。その為に、足りないデータを補いつつ2023年度中盤には投稿を目指す。 休眠時にオートファジーが活性化する機構は、細胞内pH酸性化を介している可能性がより高くなってきた。そこで、作製したGFP-p62レポーターキリフィッシュの詳細解析を進めていく。一方で、酸性化のみでもp62の相分離を引き起こすことが十分であるかどうか証明するためにp62の組み替えタンパク質を生成し、In vitroでも液滴形成に十分かどうか検討していく。
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