研究領域 | マルチモードオートファジー:多彩な経路と選択性が織り成す自己分解系の理解 |
研究課題/領域番号 |
22H04657
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 国立遺伝学研究所 |
研究代表者 |
浅川 和秀 国立遺伝学研究所, 遺伝形質研究系, 特命准教授 (30515664)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
5,850千円 (直接経費: 4,500千円、間接経費: 1,350千円)
2023年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2022年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
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キーワード | ALS / 運動ニューロン / オートファジー流動 / ATP / TFEB / オートファジー / ミトコンドリア / マイトファジー / vulnerability / motor neuron / mitophagy |
研究開始時の研究の概要 |
筋肉を収縮させる神経細胞「運動ニューロン」が変性する筋萎縮性側索硬化症(ALS)には、細胞サイズが大きい運動ニューロンほど変性しやすいという特徴がある。本研究では、大きい運動ニューロンほど細胞内ATPレベルが低く、オートファジー流動が亢進している、というこれまでの発見をさらに掘り下げることで、神経細胞のALS脆弱性のメカニズムに迫ることを目指す。この為に、マイトファジーによるミトコンドリアの品質管理が、運動ニューロンのATPレベルの維持に果たす役割を検証する。さらに、ALSの主要な病態であるTDP-43の相転移異常が、オートファジー流動や細胞内ATPレベルに与える影響を評価する。
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研究実績の概要 |
神経変性疾患である筋萎縮性側索硬化症(ALS)は、筋肉の収縮を制御する運動ニューロンが特異的に変性するという選択的脆弱性によって特徴付けられる。本研究では、熱帯魚ゼブラフィッシュにおいて、ALS脆弱性が高いタイプの運動ニューロンほど、オートファジー流動が亢進しているという独自の発見をもとに、運動ニューロンの選択的脆弱性のメカニズムは明らかにすることを目標にしている。 2022年度は、オートファジーがATPの供給を介して運動ニューロンのALS脆弱性を補う機能を担っている可能性を検証することを目指した。さらに、ミトコンドリアが主要なATP供給源であることを考慮し、ATP供給機能における選択的マクロオートファジー(マイトファジー)の寄与度を評価することを目指した。 マイトファジーの制御因子でありALSの原因遺伝子でもあるTBK1に着目し、ゼブラフィッシュのALS型tbk1変異体を作製し、この変異体において運動ニューロンの細胞内ATPをイメージングによって捉える為のプローブを発現させた。その結果、ゼブラフィッシュtbk1変異ホモ接合体では、運動ニューロンの細胞内ATPレベルが低下していることがわかった。 また、光遺伝学TDP-43相転移法を用いて、TDP-43相転移が、オートファジー流動の低下を引き起こすか、さらに、細胞内ATPの低下を引き起こすか、を検証することを目指した。2022年度は、これらの細胞毒性をイメージングによって検討するための、ゼブラフィッシュ系統の構築に取り組んだ。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
tbk1ホモ接合体の運動ニューロンのATPレベルが低下していることを見出した。TDP-43相転移とオートファジー流動、また、TDP-43相転移と細胞内ATPレベルの関係性を調べるベクターの作製に成功した。次年度に、これらのコンストラクトを組み込んだゼブラフィッシュ系統を樹立し、解析する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
tbk1ホモ接合体の運動ニューロンのATPレベルが低下が、ミトコンドリア欠損によるものかを、細胞レベルで検証する必要がある。TDP-43相転移と、オートファジー流動、細胞内ATPレベルの関係性を解析する実験では、光遺伝学型TDP-43(opTDP-43)の発現を低レベルで安定に保つ為に、より多くのトランスジェニック系統を樹立し、最適なものを選別する必要があると予想される。
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