公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
マウス着床前胚では、4細胞期の時点から個性が形成される一方で、全能性も有する可塑的な状態で存在している。この可塑的な状態は、細胞間相互作用や種々のシグナル伝達経路により制御されているが、その機序は未だ不明な点が多い。そこで本研究では、胚内部における細胞間相互作用および個々の細胞内で生じるシグナルの活性化を網羅的に解析すると同時に個々の細胞のクロマチン構造をゲノムワイドに解析を行うことで包括的な解明を試みる。空間上の細胞間相互作用に起因したクロマチン構造制御から遺伝子発現状態の変化を包括的に解析する。これにより、初期胚における細胞運命決定機序の理解を目指す。
研究の目的:本研究では、胚盤胞における全細胞の複数のシグナル伝達経路を網羅的に定量測定し、全細胞間相互作用ならびに細胞内シグナル伝達の活性化状態を明らかにすることを目的とした。加えて、特定のシグナル活性化状態にある細胞のクロマチン構造を1 細胞レベルかつ70%以上のゲノムカバー率で解析し、特定シグナルネットワークあるいはシグナル間の干渉によるエピゲノム状態の成立機序を解明することとした。転写を制御するクロマチン構造状態(転写因子・クロマチン制御因子の結合、ヒストン修飾・バリアント置換、各活性化状態におけるRNApolymeraseIIのゲノム領域へのリクルート)と細胞型を解明するトランスクリプトームを同時に測定する技術ChILseq2.0 と組み合わせることで、胚盤胞における分化運命決定機序の包括的な解明を目指した。R4年度の研究実施計画:細胞の位置と網羅的なシグナル伝達情報の解析を可能にするため、連続免疫染色法を新たに開発した。本手法は、薬剤で容易に開裂可能なリンカーを介して蛍光物質を付加した抗体を用いることで、標的タンパク質の染色後に薬剤で蛍光シグナルを消光するサイクルを繰り返す。最終的にはデバイス構築による全工程の自動化によるハイスループット化を行った。抗体で染色し消光する原理検証を終え、胚発生の解析に向けた実装を進めた。また、本開発と並行して単一細胞空間トランスクリプトーム技術としてSeqFISH+法を実装した。共同研究により技術移転した技術をベースとして、ヒト正常線維芽細胞で数種の遺伝子発現の検出を実証し、独自の技術を加えて差異らに改良を行った。本マウス胚解析に必要な遺伝子を標的とした独自プローブの開発と最適化を進め論文投稿準備中である。
1: 当初の計画以上に進展している
当初予定に沿って、データ取得を進めており当初の計画通りに進展している。
研究計画に従って進めていく。
すべて 2023 2022 その他
すべて 雑誌論文 (12件) (うち国際共著 3件、 査読あり 12件、 オープンアクセス 12件) 学会発表 (14件) (うち国際学会 3件、 招待講演 14件) 備考 (1件)
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