研究領域 | 全能性プログラム:デコーディングからデザインへ |
研究課題/領域番号 |
22H04680
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 長浜バイオ大学 |
研究代表者 |
中村 肇伸 長浜バイオ大学, バイオサイエンス学部, 教授 (80403202)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
8,320千円 (直接経費: 6,400千円、間接経費: 1,920千円)
2023年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
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キーワード | 2細胞期様細胞 / 全能性細胞 / ES細胞 / 多能性細胞 / 亜集団 |
研究開始時の研究の概要 |
ES細胞には低率であるが、2細胞期胚に類似した遺伝子発現パターンを示す2細胞期様細胞と呼ばれる亜集団が存在することが報告されている。本研究では、我々が全能性の観点から解析してきた着床前胚の特性と2細胞期様細胞の特性に基づき、2細胞期様細胞を長期培養する方法を確立する。また、2細胞期様細胞に含まれる亜集団を同定し、1個の細胞が分裂を経て胚体組織と胚体外組織の両方に分化できる“全能性幹細胞”を樹立することにより、細胞の全能性を規定する分子基盤を解明することをもう一つの目的とする。
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研究実績の概要 |
ES細胞およびiPS細胞は、すべての体細胞および生殖細胞へと分化する能力を有しているが胎盤の細胞に分化することはできない。その「多能性」に対して、発生初期における着床前胚の細胞は、胎盤の細胞を含む全ての細胞へと分化できる「全能性」を有している。しかし、ES細胞には低率であるが、MuERV-L (murine endogenous retrovirus with leucine tRNA primer) 陽性細胞が含まれており、この細胞集団が全能性を有することが示唆されている。本研究では、研究代表者らが全能性の観点から解析してきた着床前胚において特異的に発現する遺伝子を手がかりに、ES細胞に含まれる“真の全能性細胞”を同定・可視化する方法を確立することを目的とした。研究代表者らは、MuERV-L陽性のES細胞が全能性細胞を含むヘテロな細胞集団であることを明らかにしている。また、全能性を有する初期の着床前胚に特異的に発現する遺伝子群の中で、Klf17、Btg4、Rfpl4、およびZfp92が、MuERV-L陽性細胞でのみ発現していることも明らかにしている。そこで、本研究ではこれらの結果に基づき、MuERV-Lに加えてこれらの全能性細胞特異的遺伝子を全能性細胞のマーカーとして利用し、1個の細胞から将来胚体と胚体外を形成する2種類の細胞を生み出す能力を持つ“真の全能性細胞”の同定を行うことを目的とした。また、全能性を保持したまま増殖させることが可能な“全能性幹細胞”の樹立を行い、全能性の分子基盤を解明することをもう一つの目的とした。本研究により得られる成果は、生物学的に意義があるだけではなく、生殖補助医療、再生医療、畜産分野への応用など、一般社会においても重要な意義を持つと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在までに、MuERV-L陽性細胞の中に初期の着床前胚で特異的に発現するKlf17を発現する細胞集団が存在することを明らかにしている。本研究課題で目標としていたMuERV-L陽性細胞の中に亜集団が存在することを明らかにできたため、本研究課題はおおむね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
今後、MuERV-L陽性細胞、Klf17陽性細胞、およびMuERV-L/Klf17共陽性細胞の分化能を桑実胚への移植実験により明らかにする予定である。また、分化能に差が出た場合には、それぞれの細胞集団のRNA-seqを行い、遺伝子発現の特徴を明らかにする予定である。
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