研究領域 | 全能性プログラム:デコーディングからデザインへ |
研究課題/領域番号 |
22H04682
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
関 由行 関西学院大学, 生命環境学部, 教授 (20435655)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
8,320千円 (直接経費: 6,400千円、間接経費: 1,920千円)
2023年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
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キーワード | 全能性 / 胚性ゲノム活性化 / 多能性幹細胞 / 2細胞様細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究提案では、『DUX非依存的な新規2CLCの可視化法の開発』、『新規2CLCを指標としたMajor ZGAを制御する遺伝子カスケードの同定』、『新規2CLCの幹細胞化』の3つの研究項目を実行し、DUX非依存的な胚性ゲノム活性化機構の解明と2細胞様幹細胞の樹立を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究提案の研究目的は転写因子DUX非依存的な胚性ゲノム活性化機構を解明することである。これまで、転写制御因子Ctbp1/2をES細胞で2重破壊 (DKO)することで、DUX非依存的に2細胞期後期で活性化される遺伝子群が活性化されることを突き止めていた。そこで、本年度はDUX非依存的に活性化されるCrxos遺伝子座にEGFPをノックインし、新規2細胞様細胞の可視化を目指した。CRISPR/Cas9システムを用いてEGFPをノックインした結果、EGFP陽性細胞が確認できたが、ランダムインテグレーションの細胞も混在しており、完全にCrxosの発現をEGFPで可視化することは達成できていない。そこで現在、ノックイン効率が高い、Cas9タンパク質とgRNAの複合体を用いてノックイン細胞の樹立を試みている。 またDUXは有胎盤類特異的な転写因子のため、そこで胎盤を持たない有尾両生類であるイベリアトゲイモリにおける胚性ゲノム活性化機構の解明を通してDUX非依存的な胚性ゲノム活性化機構の解明も目指している。まず、胚性ゲノム活性化機構が起きる初期胚における遺伝子発現変化をポリA mRNAを材料にRNA-Seqで解析したところ、胚性ゲノム活性化機構が起きる前にポリAが伸長する遺伝子を同定した。現在、これら新規にポリAが付加される遺伝子群が胚性ゲノム活性化に関与している可能性を検証するためにモルフォリノオリゴを用いたノックダウン実験を行なっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
EGFPのノックインによる遺伝子発現の可視化系がランダムインテグレーションの問題でうまくいっていない。そこで、現在はCas9 RNPの系に切り替えて実験を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
Cas9 RNPを用いた方法で2細胞期後期に発現する遺伝子群の発現をEGFPで可視化する。その後、Ctbp1/2をノックアウトし、EGFP陽性細胞の増加を確認する。増加が確認できた場合、EGFP陰性細胞と陽性細胞のFACSで分離し、RNA-Seqで遺伝子発現パターンを比較する。次に、CRISPR/Cas9を用いて新規2細胞様細胞の出現率を増加、もしくは減少させる遺伝子群のスクリーニングを行う。 イベリアトゲイモリの実験に関しては、まず現在解析している遺伝子群 (Pou5f1/3, Prdm14)の機能解析を行う。これら遺伝子をノックダウンすると原腸胚期に発生異常が観察され始め、発生が停止することを突き止めている。原腸胚期には胚性ゲノム活性化によって中・内胚葉遺伝子が活性化されるため、野生型胚とノックダウン胚における遺伝子発現をRNA-Seqで比較して、POU5F1/3, PRDM14が胚性ゲノム活性化に関与している可能性を検証する。また、胚性ゲノム活性化が起きる直前に少数の遺伝子群が活性化されることも突き止めているため、これら遺伝子群の機構解析も行う予定である。
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