研究領域 | 多様かつ堅牢な細胞形質を支える非ゲノム情報複製機構 |
研究課題/領域番号 |
22H04685
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
加納 純子 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (10323809)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
8,970千円 (直接経費: 6,900千円、間接経費: 2,070千円)
2023年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2022年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
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キーワード | 染色体 / クロマチン / テロメア / サブテロメア |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、“染色体末端近傍領域の特徴的な凝縮構造”という非ゲノム情報がどのように形成・複製され、生物の様々な場面においてどのような役割を果たしているのかを明らかにすることを目的とする。本研究により、サブテロメア特異的凝縮構造の共通の機能は何か、染色体末端凝縮構造が生物の進化や多様化にどのように関与してきたか、ヒトはStSat領域の凝縮構造を失ったことによってどうなったのか、ヒトをヒトたらしめるものは何か、という疑問の解明につながることが期待される。本研究の成果は国際科学雑誌や学会などで発表するとともに、積極的に広報活動を行い、一般の方々にもわかりやすく情報発信することに努める。
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研究実績の概要 |
線状染色体末端のテロメアに隣接するドメインであるサブテロメアは、長大な重複配列が存在すること等による実験手法的困難から、その機能がほとんど明らかにされてこなかった“染色体の未開の地”である。これまでに申請者らは、分裂酵母のセントロメアタンパク質Sgo2が細胞周期の間期にサブテロメアにリクルートされ、サブテロメア特異的なKnobと呼ばれる凝縮クロマチン構造の形成を誘導することを発見した。しかし、Sgo2がどのようにしてサブテロメアにリクルートされ、どのようにKnobが形成されるのか不明であった。本研究において、Sgo2のサブテロメア局在には、ヒストンH2AS121のリン酸化だけでは十分ではなく、ヒストンH4K5, H4K12の脱アセチル化やヒストンH3K36のメチル化も重要であることを明らかにした。さらに、ヒストンH4K5, H4K12の脱アセチル化を行う酵素サブユニットであるNts1は間期特異的にサブテロメアに局在し、その局在はSgo2によって安定に維持されることも明らかになった。 一方、ヒトに進化的に最も近い大型類人猿は、ヒトとは大きく異なる染色体末端構造をもち、StSatと呼ばれる巨大な繰り返し配列がテロメアとサブテロメアの間に存在する。StSatもKnobと同様に高度に凝縮したクロマチン構造を形成することが示唆されているが、その形成機構や機能は不明であった。本研究において、StSat領域ではH3K9メチル化が高度に見られるヘテロクロマチンが形成されていることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
順調に研究成果が出ており、現在論文投稿準備中である。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、Sgo2(Knob)やサブテロメアヘテロクロマチンの局在範囲を決定する機構を明らかにしたいと考えている。また、Sgo2がサブテロメア全体に局在を広げる機構についても解析したい。さらに、様々な霊長類細胞におけるサブテロメアのクロマチン構造について解析し、進化の過程でサブテロメア配列が変化した影響を探りたい。
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