研究領域 | 多様かつ堅牢な細胞形質を支える非ゲノム情報複製機構 |
研究課題/領域番号 |
22H04686
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
黒川 峰夫 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (80312320)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
8,580千円 (直接経費: 6,600千円、間接経費: 1,980千円)
2023年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
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キーワード | 急性骨髄性白血病 / DNMT3A / 白血病 |
研究開始時の研究の概要 |
急性骨髄性白血病(AML)においてDNMT3A変異は高頻度でみられるがDNMT3A変異が病態形成において果たす役割や特異的な治療標的に関しては不明な点が多い。本研究では、テトラサイクリン誘導的DNMT3A変異発現マウスにがん遺伝子を導入してAMLを発症させた後にDNMT3A変異の発現を無くし、エピジェネティック修飾の変化を解析する。DNMT3A変異によるエピジェネティック修飾の変化とDNMT3A変異によらないエピジェネティック修飾の変化にそれぞれ着目し、これらの変化を維持する機構について詳細に解析を行うことで、非ゲノム複製機構と疾患との結びつきを明らかにする。
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研究実績の概要 |
急性骨髄性白血病においては変異を生じた遺伝子によるエピジェネティック修飾の変化が白血病の発症・維持に重要な役割を持つことが明らかになってきている。本研究では、ドキシサイクリン誘導性変異DNMT3A過剰発現マウスを用いて、急性骨髄性白血病においてDNMT3A変異がもたらすエピジェネティック修飾の変化がDNMT3A変異の発現を無くした状況下でどのように維持され急性骨髄性白血病の病態に寄与するかを明らかにすることを目的として研究を行った。まず、誘導的DNMT3A変異過剰発現モデルでは、過去に用いたDNMT3A変異マウスモデルであるDNMT3A変異ノックインマウスおよびDNMT3A過剰発現造血幹細胞の骨髄移植マウスモデルと同様に、造血幹細胞分画の増加が認められることを確認した。次にパブリックデータを参考にヒトの急性骨髄性白血病においてDNMT3Aと協調して急性骨髄性白血病を起こす遺伝子変異(NRAS変異、FLT3-ITD+NPM1c、IDH2変異)を選定した。DNMT3A変異急性骨髄性白血病を再現するために、これらの変異遺伝子を誘導的DNMT3A変異発現マウスの造血幹細胞に過剰発現させて、ドキシサイクリン投与下でコロニー形成アッセイおよび同系野生型マウスへの骨髄移植を行った。今後は得られた不死化したコロニーおよび白血病化マウスの白血病細胞がドキシサイクリン投与下/非投与下において増殖能を維持できるかどうかを観察し、DNAメチル化やクロマチン状態の変化などのエピジェネティック修飾の変化およびそれに伴うトランスクリプトームの変容を中心とした白血病細胞内の変化について解析を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究に用いるドキシサイクリン誘導性DNMT3A変異過剰発現マウスの表現型について、本研究室から過去に報告したDNMT3A変異マウスの表現型を比較した。DNMT3A変異ノックインマウスおよびDNMT3A変異過剰発現マウスでは造血幹細胞の増加が特徴的であり、ドキシサイクリン誘導性DNMT3A変異過剰発現マウスでも同様の表現型を認めた。DNMT3A変異が消失した状態でも維持されるエピジェネティック修飾の解析に用いるドキシサイクリン誘導性DNMT3A変異過剰発現マウスの骨髄細胞を移植して作成する白血病マウスモデルについて着実に準備を進められている。DNMT3A変異過剰発現細胞に白血病に関連した遺伝子変異を過剰発現して得られる白血病マウスモデルを使用する予定であるが、マウスモデルでの白血病発症が得られなかった一部の遺伝子変異の過剰発現系については、コロニー形成アッセイで不死化した細胞を用いてエピジェネティック修飾の変化を解析するべくコロニー形成アッセイを行った。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度は、DNMT3A変異誘導的発現マウスの骨髄細胞にFLT3-ITD+NPM1c、NRAS変異をそれぞれ過剰発現させた細胞をコロニー形成培地に播種するまたは同系野生型マウスに骨髄移植することで得られた不死化コロニーおよび白血病マウスモデルの白血病細胞がドキシサイクリン投与下/非投与下においてどのように変化するかをまず解析する。また、これらの白血病細胞に対してRNA-seq, ChIP-seq, バイサルファイトシークエンス、ATAC-seqにより網羅的にトランスクリプトームおよびエピジェネティクスの変化を解析し、DNMT3A変異発現の中断により変化するエピジェネティック修飾と変化しないエピジェネティク修飾を明らかにする。変化しないエピジェネティック修飾はDNMT3A変異によらないエピジェネティック修飾複製機構によって維持されていると考えられ、さらにその維持機構について詳細に解析する。これらの解析結果に基づき、急性骨髄性白血病における特異的なエピジェネティック修飾維持機構を同定し、この機構が急性骨髄性白血病の新規治療標的となりうるかどうかを検証する。
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