研究領域 | 高速分子動画法によるタンパク質非平衡状態構造解析と分子制御への応用 |
研究課題/領域番号 |
22H04755
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
複合領域
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
片山 哲郎 徳島大学, ポストLEDフォトニクス研究所, 助教 (80592360)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,630千円 (直接経費: 5,100千円、間接経費: 1,530千円)
2023年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2022年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | 単一たんぱく質結晶 / 顕微過渡吸収分光 / 励起状態ダイナミクス / 電子移動反応 / 超高速分光 / 生体試料 / 単一結晶 / 励起エネルギー移動反応 / 単一微結晶計測 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、三次元に分子の配列した生体分子内の、同種分子を含む励起状態、電荷分離状態の局所的な選択的観測を微弱光パルスにより非破壊で可能とする方法論を開発し、生体試料結晶の電子移動反応の未解明な部分を明らかにする。多くの生体分子系は同種の色素をタンパク質内に含むが、高速分光を用いた場合、同種分子間のエネルギーや電子伝達にはスペクトルでは判別がつかず、その反応経路の因子を明らかにすることはできない。その反応経路を時間分解偏光解消実験を用いて解明する。
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研究実績の概要 |
初年度はフィコシアニンたんぱく質結晶のエネルギー移動反応ダイナミクスについて既存のフェムト秒顕微過渡吸収計測装置を用いて計測し、そのエネルギー移動反応ダイナミクスを観測した。フィコシアニンたんぱく質内には同種の色素が一つのモノマーユニット中に三つ存在しており、それらの色素の吸収極大波長は結合位置によって若干異なる。得られた時間分解電子スペクトル(過渡吸収スペクトル)をグローバル解析することにより、三つの色素間の異なる電子状態間の緩和過程についての時定数を得た。また過渡吸収計測で観測された長寿命成分を理解するために、新たにポッケルスセル、および本研究予算で単一光子検出器を光学系に導入し、時間相関単一光子係数法による発光寿命計測を行えるように、装置を構築した。また本研究予算で浜松ホトニクス社の高感度sCMOSカメラの取り込みボードを購入し、顕微鏡下の小さな結晶から放出される微弱な発光スペクトルも観測できるように装置を拡張した。拡張した計測装置で発光寿命を計測することで、過渡吸収計測の観測時間領域よりも広い時間範囲での発光ダイナミクスが計測され、長寿命の電子状態についても議論が可能となり、特定の色素に捕捉されて長寿命化した励起状態の発光時定数を決定した。これらの研究結果から、モノマーユニット間のエネルギー移動、ダイマーユニット間でのエネルギー移動の時定数を決定した。 これらの研究成果は国内会議、国際会議においてそれぞれ報告し、初期のダイナミクスに関する内容はJJAP誌に報文した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
一年目は計測手法開発とともに、基礎的な時間分解分光計測を行った。計測すべき観測波長域、時間領域についての基礎的な情報が得られ、また単一結晶におけるフィコシアニンたんぱく質内の色素間励起エネルギー移動過程の全体像に対する理解が進み、報文に至った。
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今後の研究の推進方策 |
二年目は生態系で重要なディスク上タンパク質のディスク軸に沿ったエネルギー移動反応時定数の決定と、その速度因子について開発中の偏光解消計測とともに行う予定である。また他のたんぱく質内の色素のエネルギー移動、電子移動、光異性化反応、プロトン移動反応について計測を行い、これらの詳細について計測を行っていく。
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