研究領域 | 身体-脳の機能不全を克服する潜在的適応力のシステム論的理解 |
研究課題/領域番号 |
22H04773
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
複合領域
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
小林 祐一 静岡大学, 工学部, 准教授 (60373304)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
5,850千円 (直接経費: 4,500千円、間接経費: 1,350千円)
2023年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2022年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
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キーワード | 運動学習モデル / フィードフォワード制御 / 情報の再利用 / 筋シナジー / フィードフォワード制御学習 / 繰り返し運動の学習 / 観測の長周期化 |
研究開始時の研究の概要 |
人間には,身体・脳の機能不全に際して,過去に獲得した神経回路を再利用して機能を適応的に回復させる能力があり,その適応過程(超適応)の理解が求められている.研究代表者はこれまでに,感覚情報間の部分的な因果関係の推定にもとづいた制御器の自動生成方法を提案しており,それをベースにした運動学習モデルを開発している.そのモデルを拡張し,実際の生物の運動における構造的変化(筋肉の再配置)への適応過程との関連を検証する.
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研究実績の概要 |
人間には,身体・脳の機能不全に際して,過去に獲得した神経回路を再利用して機能を適応的に回復させる能力があり,その適応過程は超適応とよばれる.その過程を理解することで,リハビリなどに応用することが求められている.このような運動制御に関する情報の再利用をともなう適応過程を説明することを目指し,新しい運動学習モデルを提案した. 研究代表者のこれまでの成果として,感覚情報間の部分的な依存(因果)関係の同定にもとづいた制御器の自動生成方法をベースにした運動学習モデルを提案している.この運動学習モデルが用いているフィードバック型の制御に加えて,フィードフォワード型の制御要素を含んだ制御に移行する過程を新たに取り入れることを目指し,フィードフォワード型の学習制御法をを提案・実装した.適用課題として,トルク制御型の2自由度アームにおいて,繰り返し運動学習課題を設定し,同じ参照軌道への追従を繰り返す中で,フィードフォワード型の制御信号を獲得することで,センサ観測の頻度を下げて計算負荷を減少させる運動学習が可能になることが確認された. 提案する運動学習方法は,状態非依存・時間依存型の強化学習法をベースにすることで,時系列の制御信号を獲得させることができる.状態非依存の学習法であるため,任意の状態での制御指令を生成することはできないが,繰り返し運動学習課題の中で,フィードバック制御機構と併存させながら運動制御を行うことで,動作の範囲を制限することができる.提案する運動学習モデルは,フィードバック制御とフィードフォワード制御が併存する中で,よりなめらかな運動を「より少ない注意」で可能にするという意味で,人の運動獲得過程を説明することのできるモデルになっている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
目標とするフィードバック制御とフィードフォワード制御の両方の学習要素を含んだ運動学習モデル構築の第一段階として,フィードフォワード制御器を獲得するモデルを構築することができた.次年度は,この運動学習モデルをベースとして,筋シナジーの獲得などを含んだ,より生物の運動制御機構に近い形での運動学習課題を設定し,その適応過程を模擬・検証することを目指すことができる.
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は,2022年度に提案・開発したフィードフォワード制御器の獲得を含んだ運動学習モデルをベースにして,獲得された制御器の情報の再利用を行うことのできる運動学習モデルの実装と検証を行う.簡単化の観点から,2022年度に開発した際には,トルク制御型のアームを想定していたのに対して,2023年度の実装と検証においては,筋骨格モデルを想定して筋肉の活性度をベースにした上腕の運動学習を対象に含める.これまでの運動制御モデルは,マルチモーダルなセンサ情報(関節角度,手先位置,関節トルク,など)間の部分的な因果関係を個別に推定し,それらを統合したダイナミクスをフィードバックに用いるという形式をとっていた.これに対して新たに提案する運動学習モデルでは,初期条件や目標位置などの条件を固定した一定の運動を繰り返す課題を想定し,一連の運動制御入力時系列をフィードフォワード型の制御要素として獲得するという形式をとる.筋骨格系の場合は,この制御要素が筋シナジーの役割を果たす. このような運動学習モデルで獲得された時系列信号を,環境または身体に変容が生じた際に再利用する形で新たな運動獲得を探索するモデルを開発する.すでに提案している運動学習モデルにおいて,運動に関する知識がどのように再利用可能であるかについての検証もさらに進める.また,これまでに本研究プロジェクトに関連して開発してきたフィードバック型の運動学習モデルの枠組みの中での情報の再利用を検証する.フィードバック型の運動学習とフィードフォワード型の運動学習が併存するような形の運動学習モデルを構築し,その情報再利用過程を考察する.
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