研究領域 | 身体-脳の機能不全を克服する潜在的適応力のシステム論的理解 |
研究課題/領域番号 |
22H04784
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
複合領域
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
尾崎 弘展 同志社大学, 研究開発推進機構, 准教授 (30747697)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
5,980千円 (直接経費: 4,600千円、間接経費: 1,380千円)
2023年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2022年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
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キーワード | 運動野 / 脳梗塞 / リハビリテーション |
研究開始時の研究の概要 |
脳梗塞などによる障害の回復過程では、抑制性介在神経細胞の活動低下による「脱抑制」が誘発する神経回路再編が重要な働きをしていると考えられている。一方、慢性期にも脱抑制が持続した場合、抑制のバランスが崩れたままの状態が続き、障害からの回復を阻害する可能性がある。 従って、このような脱抑制を時期・部位依存的に制御することは、さらなる機能回復に寄与することが示唆される。 本研究では、障害をうけた大脳皮質運動野の対側半球の脱抑制が脳梗塞慢性期にも持続することによる負の影響を調べ、そうした慢性期の脱抑制を制御することが、さらなる機能回復すなわち「超回復」の誘導に繋がるのか動物実験レベルで検証する。
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研究実績の概要 |
脳梗塞により失われた機能は、急性期に残存神経回路の代償過程により部分的に回復する。そうした回復過程には、広範な残存領域の脱抑制が関わっており、例えば、大脳皮質一次運動野(M1)において、梗塞を作成すると直接結合をもった一次体性感覚野において抑制が解除される(Fukui, Osaki et al., Sci.Rep., 2020)。一方、急性期の脱抑制状態で回復できなかった場合、慢性期における機能回復は困難なものが多い。 我々のグループは、動物実験レベルで神経回路の脳梗塞急性期から慢性期にかけての機能的変化に着目し、特定の神経回路を制御することで、慢性期における機能回復を促すための手法を開発することを目指している。具体的には、巧緻動作が必要な課題を行わせる実験系を立ち上げ、神経活動イメージングおよび電気生理学的手法を用いた計測を組み合わせて、課題遂行中のM1が、運動野脳梗塞前後、またその回復過程においてどのような変化を起こすのかを観察し、通常の回復過程を上回る「超回復」を誘導する神経回路の活動制御法を開発することを目指している。 本年度は、げっ歯類において運動野脳梗塞の機能損傷の程度を調べることに広く用いられている梯子走行課題システムを構築した。本システムを用いて、M1損傷による機能障害の程度を計測し、それらとM1損傷前後の神経活動および運動機能の変化、さらに神経活動制御による回復の誘発を目指してシステムの構築を行った。多点カメラにより主に四肢の動きをモニターし、DeepLabCutと独自のアルゴリズムを組み合わせることで四肢が梯子から落ちたことを自動で計測できるようになっている。その結果、運動野脳梗塞において梗塞半球の対側の前肢および後肢において梯子から外れる頻度が上昇する傾向を見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は、異動に伴って、大脳皮質の広範な領域でCa2+イメージングにより神経活動を捉えることが可能なシステムの作成に取り組み、大脳皮質運動野において広範な領域での単一細胞レベルでの観察に成功した。また、げっ歯類における運動野梗塞の評価に適した系の一つである梯子走行課題と組み合わせて、走行課題遂行中のマウスの大脳皮質イメージングにも成功した。
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今後の研究の推進方策 |
これまでにCa2+イメージングにより行動課題遂行中の神経活動計測が可能となったが、イメージングについては浅層の二次元情報を取得することになるため、次年度は、電気生理学的手法を組み合わせて、大脳皮質全層、さらに線条体・視床も含めた皮質下の活動も計測することで三次元的な神経活動を計測し、脱抑制が与える広範な影響も調べる。それにより、広範な神経回路が脳梗塞急性期~慢性期にかけてどのように変化するのかを解明し、それらの制御により機能回復を促すことを目指す。
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