公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
「奇跡的治癒」が時に生じるのが臨床の場である。脳卒中による重篤な錐体路損傷で完全麻痺だった人々の中には、医師の予想外に回復して、入院治療とリハビリテーション(リハ)後に歩いて退院し、社会生活を送るまでになることがある。こうしたケースが「奇跡」と称されるのは、回復の神経基盤である生体構造の再構成のメカニズムの多様性が科学的に未知だからだ。本研究計画では、脳卒中からの「奇跡的治癒」エピソードとして扱われてきた現象を、超適応-脳の潜在的適応力の再構成-の劇的な表現として捉え、そうした「超回復者」を対象として、神経ネットワークの冗長性に着目した臨床的な研究を行い、「奇跡」を科学的に解明する。
本研究項目では、脳卒中からの「奇跡的治癒」エピソードとして扱われてきた現象を、超適応-脳の潜在的適応力の再構成-の劇的な表現として捉える。そして、その観点から、一部の例外的な脳卒中回復者(「超回復者」)を対象として、神経ネットワークの冗長性に着目した臨床的な研究を行う。この結果として、いわゆる「奇跡」を科学的に解明することを目指した。本研究では、ヒトでの機能的神経ネットワークを非侵襲的かつ定量的に計測する手法として経頭蓋的磁気刺激法(TMS)を与えて、動的な電磁場パルスの印加に対するEEGをリアルタイムで計測するTMS-EEG法に加え、経頭蓋的静磁場刺激(tSMS)によって持続的電磁場の印加に対するEEG律動反応の変化をリアルタイムで計測するtSMS-EEG法を用いるものである。2023年度は、以下のような成果を得た。経頭蓋的静磁場刺激(tSMS)の生理機構を動物モデルで解明し、論文として発表した。脳卒中のリハビリテーションに関する臨床研究とパーキンソン病に関する臨床研究の成果を論文として発表した。超適応の個人差を解明する手法としての「N-of-1研究」についての成果を発表した。TMS-EEG法について、健常者を対象とした研究を行い、論文として投稿中である。公募班B05-09(櫻田武)を、ニューロフィードバック手法を、感覚障害のリハビリテーションに用いる新規手法の開発という医学・工学の領域横断的な共同研究を開始し、有望な結果を得ている。公募班A05-12(大須理英子)と共同して、tSMSとNIRSの同時計測研究を開始し、投稿準備中である。
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (16件) (うち国際共著 2件、 査読あり 14件、 オープンアクセス 14件) 学会発表 (18件) (うち国際学会 2件、 招待講演 11件)
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