研究領域 | 身体-脳の機能不全を克服する潜在的適応力のシステム論的理解 |
研究課題/領域番号 |
22H04790
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
複合領域
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研究機関 | 生理学研究所 |
研究代表者 |
南部 篤 生理学研究所, 研究連携センター, 特任研究員 (80180553)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
5,980千円 (直接経費: 4,600千円、間接経費: 1,380千円)
2023年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2022年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
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キーワード | 体部位局在 / 幻肢 / サル / 運動皮質 / 感覚皮質 / 可塑性 / 随意運動 / 上肢喪失 |
研究開始時の研究の概要 |
体の一部が事故や病気で失われた場合、脳がどのように適応し障害を乗り越えるのであろうか?手足を失っても、存在しない手足が依然としてあるかのように感じたり(幻肢)、強い痛みを感じることがある(幻肢痛)。さらに脳と身体、特に運動皮質や体性感覚皮質は、身体の各部位と1対1に対応している(体部位再現)。手足が失われた場合、体部位再現地図にどのような変化が起きるのであろうか?これらの問題を、ヒトに近い霊長類であり、直接、神経活動を記録することが可能であるサルを対象に、上肢を事故によって失った個体を用いて明らかにする。
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研究実績の概要 |
幼少時に事故によって一側の上肢遠位部を失ったサルにおいて、大脳皮質の体部位局在がどのように変化したのかを調べた。 一次運動野(M1)は中心前回の表面と中心溝の前壁を占めている。障害側では、手指、手根を再現していたと思われる領域が喪失しており、その代わりに断端部が再現されていた。この領域のニューロンは、断端の触診によって反応し、随意運動中にも活動を示した。また低強度の皮質内微小刺激(ICMS)で断端の筋肉の収縮を誘発したた(コア領域)。したがってM1の遠位領域は、断端領域に取って代わられたことになる。低強度のICMSで運動を誘発できるコア領域は、障害側では健常側に比べて縮小していた。 一次体性感覚野(S1)は中心溝の後方に存在する。障害側では断端領域は、上肢領域の一部を占めていた。したがって、遠位上肢領域を再現していた領域は、一部、断端領域を再現するようになったと考えられる。上肢遠位部領域と上肢領域全体の面積を、障害側と健常側とで比べると、障害側の上肢遠位部領域は健常側と比べて小さいが、一方、上肢領域全体では差がないことがわかった。 補足運動野(SMA)においては、誘発される運動と体性感覚入力で上肢領域を調べたところ、障害側において上肢領域のほとんどは断端部位ではなく、近位部の上肢領域を再現していた。遠位部断端領域と上肢全体領域を、障害側と健常側とで比べたところ、障害側の断端領域は、健常側の上肢遠位部より小さいこと、一方、上肢全体領域は、障害側と健常側とで差がないことがわかった。 このようにM1、SMAにおいては、上肢遠位部を再現していた領域が縮小しているのに対し、S1では保存される傾向にあった。運動野と感覚野におけるこのような差が、切断された上肢が依然として存在しているという感覚である「幻肢」の基礎となっている可能性がある。
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現在までの達成度 (段落) |
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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