研究領域 | 「生命金属科学」分野の創成による生体内金属動態の統合的研究 |
研究課題/領域番号 |
22H04809
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
複合領域
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
中川 一路 京都大学, 医学研究科, 教授 (70294113)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
5,720千円 (直接経費: 4,400千円、間接経費: 1,320千円)
2023年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2022年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
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キーワード | 黄色ブドウ球菌 / 鉄獲得レセプター / 低分子化抗体 / 増殖阻害 / A群レンサ球菌 / 金属レセプター / 低分子化合物 / 抗体 / 感染防御 / A群レンサ球菌 / 金属トランスポーター / ヘム獲得系 / CDF排出トランスポーター / 金属特異的レセプター / 新規創薬 / レンサ球菌 / 菌種特異性 |
研究開始時の研究の概要 |
細菌感染症は、これまで天然物由来の抗生物質や部分合成された抗菌剤が長年使用されてきた。その効果は非常に大きく、細菌感染症は撲滅するのではないかと言われた時期もあった。ところが近年、病原体における薬剤耐性化や高病原化株の出現が問題となっている。 そのため、既存の薬剤とは異なる作用機序で、耐性株が出現しにくい新規創薬のシーズ開発が望まれている。本研究では、病原細菌の菌種に特異的に進化した遺伝子として、金属獲得系トランスポーター、金属排出系トランスポーター、およびその制御因子を特異的に阻害する薬剤候補を対象にし、新規創薬基盤を開発することを目的とする。
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研究実績の概要 |
メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)は、院内感染の主要な原因菌の一つであるが、その広範囲な抗菌剤に対する薬剤耐性から世界的な問題となっている。新規の抗菌薬は天然シーズの枯渇から新規開発が進んでおらず薬剤耐性株に対して有効な新しい抗菌戦略が必要である。黄色ブドウ球菌が宿主から鉄を獲得する主要な経路は、Isd(iron surface determinant)システムである。このisdシステムは、9種類のタンパク質から構成されており、ヘム鉄を菌体外から菌体内に取り込むためのトランスポーターシステムである。生体内では鉄はそのほとんどが細胞内に保持されているため、病原細菌は増殖に必須である鉄を効率的に取り込む必要がある。そのため、ヘムを取り込むシステムは、病原性細菌で発達しており、黄色ブドウ球菌やA群レンサ球菌等で発達している。黄色ブドウ球菌の菌体表面に存在するヘモグロビン受容体IsdHとIsdBは、ヘモグロビン(Hb)からのヘム鉄を獲得するために必要である。そこで、ヘム獲得を阻害する目的で、isdHおよびisdBに対するアルパカ由来の単分子抗体であるVHH抗体を作製した。この抗体は、IsdHとIsdBのヘム結合ポケットを、そのCDR(complementary-determining region)2およびCDR3を介してnMオーダーの親和性で認識することを明らかにした。試験管内でのヘム獲得阻害のメカニズムは、抗体のCDR3が細菌レセプターによるヘム獲得を競合阻害する可能性が示唆された。そこで、得られた抗体を用いて、実際にMRSA株に対する増殖阻害効果を確認したところ66 nM以上の濃度でVHH抗体を添加すれば、菌の増殖を効果的に誘導することが可能であった(図1)。これらの結果から、MRSAに対する抗菌戦略として、栄養素の取り込みを阻害するメカニズムが明らかになった。
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現在までの達成度 (段落) |
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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