研究領域 | 情報物理学でひもとく生命の秩序と設計原理 |
研究課題/領域番号 |
22H04828
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
複合領域
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
中村 修一 東北大学, 工学研究科, 准教授 (90580308)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 細菌べん毛 / 光活性型アデニル酸シクラーゼ / 顕微計測 / スピロヘータ / 走化性 / シグナル伝達 / 光応答 / サイクリックAMP / イメージング / 走性 / 細胞内情報伝達 |
研究開始時の研究の概要 |
新規の光活性型酵素を持つレプトスピラ属細菌のべん毛制御機構を解明する。約2μmの大腸菌におけるべん毛回転は走化性分子の細胞質内拡散で制御可能であるが,約20μmのレプトスピラの約1秒で完了する素早い方向転換は拡散では間に合わない。分子生物学と光学顕微鏡を組み合わせ,真核細胞に近い空間スケールながら,原核細胞レベルの速い応答を実現する信号伝達・処理のメカニズムを明らかにする。光活性型酵素の新機能は,神経など特定の細胞に光応答蛋白質を発現させ,光で細胞機能を操作する光遺伝学技術の発展にも寄与すると期待できる。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は,新規の光活性型アデニル酸シクラーゼ(LprA)を持つ土壌細菌レプトスピラを材料として,拡散では説明できない時空間スケールで協同的に動く細菌べん毛の動作制御機構を明らかにすることである。レプトスピラは約20μmの細長い菌体の両極に1本ずつべん毛を持ち,時折方向転換しながら遊泳する。1秒程度で完了する方向転換の実現には,両極のべん毛回転を協調的に制御する仕組みが必要である。約2μmの大腸菌における複数べん毛の回転制御は走化性応答分子CheYの細胞質内拡散で説明できるが,20μmの拡散に要する時間は約20秒であるため,レプトスピラ運動は拡散に寄らない仕組みを利用していると思われる。本研究では,光依存的cAMP合成からべん毛回転制御につながる信号伝達機構を解明する。 本研究で使用するL. kobayashii E30(以後,E30株)は光活性型cAMP合成酵素LprAを持ち,LprAによって光依存的に生成されるcAMPが何らかの仕組みで本菌の遊泳運動を誘起する。これまでの研究で,光照射がなくても,外液に添加された膜透過性cAMPによってE30株の運動が光照射時と同様に変化することが分かっている。また,cAMP依存的な運動変化が,化学物質に対する誘引応答に類似していることも確認できている。これらを踏まえて,令和5年度はE30株のCheY関連変異体を作製し,それらの運動性を調べた。その結果,大腸菌において恒常的活性型CheYとされている点変異導入CheYが,E30株の直進遊泳を促進することが分かった。また,べん毛関連遺伝子flgAの欠損によってべん毛を1本しか持たない細胞が生じ,この変異体はべん毛を2本持つ野生型とは異なる運動パターンを示すことが分かった。これらの結果は,2本のべん毛の相互作用とCheY関連細胞シグナリングが本菌の運動制御に関わる可能性を示唆する。
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現在までの達成度 (段落) |
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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