研究領域 | 情報物理学でひもとく生命の秩序と設計原理 |
研究課題/領域番号 |
22H04834
|
研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
|
配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
複合領域
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
太田 桂輔 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 助教 (40610382)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
|
キーワード | カルシウムイメージング / 2光子励起顕微鏡 / 樹状突起スパイン / 裾の重い分布 / シナプス可塑性 / 大脳皮質 / レア細胞 / 2光子顕微鏡 |
研究開始時の研究の概要 |
大脳皮質の神経細胞は高頻度に活動する細胞から低頻度に活動する細胞まで様々である。本研究では高頻度に活動する細胞が互いにシナプス結合を形成しており、その神経細胞集団で形成されるネットワークが脳内の情報を表現する主要回路だと仮説を立てる。本研究では2光子顕微鏡によるカルシウムイメージング(神経活動記録)と樹状突起スパインの形態観察を組み合わせることで、生きた動物脳で仮説検証を試みる。
|
研究実績の概要 |
大脳皮質の神経細胞は高頻度に活動する細胞から低頻度に活動する細胞まで様々である。本研究では高頻度に活動する細胞(本課題では高発火レア細胞と命名した)が互いにシナプス結合を形成しており、その神経細胞集団で形成されるネットワークが脳内の情報を表現する主要回路だと仮説を立て生きた動物脳で仮説検証を試みる。 初年度となる2022年度は2光子顕微鏡を利用したin vivoカルシウムイメージングにより大脳皮質2/3層の神経細胞から活動計測を行い、高発火レア細胞を探し出す実験系の確立を目指した。高発火レア細胞を探し出すためには数多くの神経細胞の活動を計測する必要がある。そのために感覚刺激を与える試行ごとにステージ上に載せたマウスを移動させて小脳領域観察を繋ぎ合わせた2光子観察(Image stitching)を実行する計測系の立ち上げを始めた。現在までの進捗状況で述べるようにステージの故障に見舞われたが、広い連続平面から神経活動を計測することができた。同時に撮像されて動画像から神経細胞を自動的に検出するアルゴリズムや、観察した小脳領域を貼り合わせるアルゴリズムの開発を始めた。これらに関しはおおよそ完成している。また、以前に実施していたカルシウムセンサーを脳の広域2発現させる方法についても現在の実験環境にて実施できることを確認し、マクロズームイメージングにより感覚野を同定する実験系の立ち上げも行った。 本研究では樹状突起スパインを観察することも目標としている。2光子顕微鏡により樹状突起スパインを観察するための最適な条件やカルシウムセンサーと波長が被らない蛍光タンパク質などの選定も行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度中にマウス大脳皮質2/3層から高発火レア細胞を探し出す計測系とオフライン解析を確立する予定であったが、途中でステージに不具合が発見されたためやや進行が遅れている。このトラブルには複数の要因が絡んでいると考えられたため、日本代理店を介して海外製造元への複数回の問い合わせが必要となったこともあり、故障の原因が明らかになるまでに2ヵ月ほどの時間を要してしまった。このようなトラブルがあったが、現在は替わりのステージを利用してデータを取得し、そのデータを利用することで解析方法も確立しつつある。このような理由から区分を判断した。
|
今後の研究の推進方策 |
深さ方向にも観察平面を移動させることで3次元空間内から高発火レア細胞をより効率的に探し出す観測系の立ち上げを検討している。感覚刺激の方法も複数に増やし、例えば体性感覚刺激に関してはピエゾ素子や空気圧を利用したパッシブタッチと、アクチュエーターなどによって位置制御されたポールへのアクティブタッチの両者を行う計画を立てている。頭部固定下で2光子イメージングを行うが、走行速度やそれに伴うヒゲの動きや目の瞳孔径など、神経活動計測と同時に動物に関する複数のパラメーターを観察するシステムの構築を行う。
|