研究領域 | 人間機械共生社会を目指した対話知能システム学 |
研究課題/領域番号 |
22H04862
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
複合領域
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
竹内 勇剛 静岡大学, 創造科学技術大学院, 教授 (00333500)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
18,590千円 (直接経費: 14,300千円、間接経費: 4,290千円)
2023年度: 9,490千円 (直接経費: 7,300千円、間接経費: 2,190千円)
2022年度: 9,100千円 (直接経費: 7,000千円、間接経費: 2,100千円)
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キーワード | 配慮 / 他者モデル / 多人数インタラクション / 身体ねじり / コミュニケーション欲求 / 多人数対話 / 参与構造 |
研究開始時の研究の概要 |
対話への新規参入において新規参与者は,すでに対話をしている既参与者それぞれの内部状態を鑑みながら,そこで自分がどのように立ち振る舞うことが適切なのかを適宜省察し既参与者に配慮した行動をしなければならない.本研究では,これまでに得られた知見(2者間の配慮を伴ったインタラクション開始過程のモデル化)と,他者の内部状態の推定のための指標として新たに「身体ねじり」 を伴うポスチャーを導入することによって,多人数対話における配慮を伴ったロボットの行動を生成する認知モデルを通して,多人数対話時における各参与者の内部状態を時系列的に推定し,他者への配慮を伴った行動に基づくインタラクションの実現を目指す.
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研究実績の概要 |
令和4年度は,多人数対話への参与を促すあるいは抑制するエージェント,多人数対話に自主的にインタラクションを行うエージェントの行動デザインの手がかりとして,多人数対話の新規参与場面における既参与者の身体ねじりの作用を分析するためのフィールド実験を行った.その結果,参加者別の対話持続時間で条件間での有意差が得られ,特定の条件群で傍参与ロボットに対する話しかけが発生しやすくなる可能性が示唆された.本研究の結果から,以下の3 点について可能性が示唆された. 1. 多人数対話における傍参与者の継続的な頭部の方向付けは,新規参与者が既参与者の内部状態を推定するための一指標となっている. 2. 多人数対話の参与者は,参与者の胴体方向によって対話空間を認識し,対話の参与者を区別している. 3. 多人数対話における既参与者の頭部方向と胴体方向は独立的に作用しているのではなく,両方の方向付けが相互作用的に働いて作用している. 本フィールド実験は日本科学未来館で実施され,実験参加者は自然な流れで対話をしている2 体のロボットの会話に参与していくよう誘導された.実験の狙いが人間の“配慮” を伴った話しかけ行動の観察であるため,フィールド実験を行うことで年齢層やバックグラウンドに偏りのない人々の“配慮” のある自然な話しかけ行動を観察できた.本研究での分析は新規参与場面において,複数人の他者に対して“配慮” を伴ったインタラクションを自主的に開始するロボット,あるいは第三者がより自然な形でインタラクションに参与しやすいように振る舞うロボットの行動デザインの手がかりとなることが明らかになった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り,各参与者の位置関係とそれぞれの胴部・頭部の向きの変化と内部状態のダイナミクスの解明に取り組んだ.ここでは,身体ねじり(胴部方向と頭部方向のギャップ)を含めた身体配置と内部状態の対応関係を表す関数の設計が必要になる.そのため,「知能対話学」第 1 期公募研究の際に拡張したCAモデルに対して,頭部方向を表す相対角度の変数を加えた新たな関数の導入と拡張を行った.
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今後の研究の推進方策 |
今後は引き続き映像データのアノテーションを行いデータ数を増やし,現れた傾向に対する妥当性をさらに検討する必要性がある.本研究での分析は,多人数対話場面において複数人の参与者に対して自主的に“配慮” を伴ったインタラクションを開始するロボット,あるいは第三者がより自然な形でインタラクションに参与しやすいように振る舞う社会的なロボットの実現の手がかりになる.これらの分析を通して,よりロボットが社交性を持った知的エージェントとして認知され,人とロボットが共生する社会が実現することが期待される.
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