研究領域 | 人間機械共生社会を目指した対話知能システム学 |
研究課題/領域番号 |
22H04866
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
複合領域
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
小山 虎 山口大学, 時間学研究所, 准教授 (80600519)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2023年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2022年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 根源的規約主義 / 慣習 / 対話規範 / 社会規範 / 対話システム / 法的推論 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、対話知能システムと社会規範の関係を明らかにすることにより、人間と機械が共生する社会に求められる新しい社会規範の基盤を提供することを目指す。具体的には、対話が社会規範の基盤であることに注目し、言語哲学において「根源的規約主義(radical conventionalism)」と呼ばれるものに基づき、対話の慣習(convention)の上に成立している対話規範がどのようなものでありうるかを明らかにする。加えて、法哲学における根源的規約主義に基づく従来研究を元に、法的推論に形式的な分析を与え、これとの比較により、根源的規約主義に基づく社会規範のあり方を明らかにすることを目指す。
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研究実績の概要 |
対話モデルの構築と実装については、まず、発言権が関わる事象のうち、対話の主導権に注目し、既存の日本語対話コーパスで主導権に関するデータを含むものを対象に分析を行った。その結果、(1)発語長と主導権の強弱がある程度相関している可能性があること、(2)長さが短い発語の代表である相槌を主導権に関して分類しうること、(3)発言の交代(ターンテイキング)は、一般的に主導権が低くなる傾向が見られる相槌と、逆に高くなる傾向が見られる言葉を区別して用いることによって実現されている可能性があること、などが見出された。こうした特徴に注目すれば、部分的な実装であれば十分可能だと考えられる。次年度は、これらの成果を利用して、実ロボットへの実装がどのように可能であるかを検討する。
コーパスの分析と並行して、実験用対話システムの開発も開始した。具体的には、ChatGPTを利用することで自然な発話が可能なbotをSlackのチャンネル上で同時に複数動作させるプログラムを開発した。botは全て単一のプログラムによって制御されており、各botの役割を変更することで対話中の主導権に変化を与えることが期待できる。また、このシステムを用いて、対話中に「置いてけぼり」になった参加者にbotが寄り添うことで「置いてけぼり」が軽減されるかどうかを調べる実験を計画した。次年度の早い段階で実験を開始する予定である。
対話規範と社会規範の関係解明については、社会哲学や言語哲学の専門家を招いた研究会を開催した。それにより、「異議申し立て」に注目すれば、人間の言語能力には情報のやり取り(コミュニケーション)を超えた規範的なものが含まれるとするユルゲン・ハバーマスやチャールス・テイラーの見解を対話システムにも応用することが可能性であることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
対話規範モデルの構築と実装については、対話コーパスの分析によって一定の見通しがつき、またSlackで動作する対話システムの開発が予想以上に進んでいる。対話規範と社会規範の関係解明についても、これまでほとんど検討されてこなかった社会哲学や言語哲学の対話システムへの応用可能性が示されており、全般的に順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
対話規範モデルの構築と実装に関しては、Slack対話システムでの実験を実施し、その結果を元にモデルをさらに洗練させるとともに、実ロボットを用いた対話システムに実装して対面での実験を実施することで、モデルの有効性と妥当性を検証する。また、実装や実験で得られた知見をモデル構築にフィードバックして、より精緻かつ実装可能性の高いモデルを構築する。
対話規範と社会規範の関係解明については、上記の実験結果を社会規範や権利論の観点から検討し、社会規範と対話規範との関連を明らかにする。
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