研究領域 | 人間機械共生社会を目指した対話知能システム学 |
研究課題/領域番号 |
22H04873
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
複合領域
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
吉野 幸一郎 国立研究開発法人理化学研究所, 情報統合本部, チームリーダー (70760148)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
11,830千円 (直接経費: 9,100千円、間接経費: 2,730千円)
2023年度: 5,850千円 (直接経費: 4,500千円、間接経費: 1,350千円)
2022年度: 5,980千円 (直接経費: 4,600千円、間接経費: 1,380千円)
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キーワード | 対話 / 行動変容 / 対話制御 / 推論 / 状況認識 / 説得対話 / マルチモーダル / 音声対話 / フェイスアクト / 音声言語処理 / 自然言語処理 / 応答生成 / 行動生成 / ロボット対話 |
研究開始時の研究の概要 |
ユーザの行動変容を促す対話システムにおいて、ユーザとの長期的な関係を考慮する。ユーザに長く使われる対話システムを実現するという観点からは、ユーザの周囲の状況を注意深く観察し、ユーザにとって真に必要な行動変容目標を決定し、その行動変容目標に応じて対話戦略や応答表現の最適化を行う必要がある。そこで、対話システムが「状況や対話の文脈に応じた適切な説得目標を立てることができるか」「説得効率だけでなく長期的なユーザとの関係を考慮した対話戦略を取る説得対話システムを構築することができるか」「決まった戦略とユーザの選好を考慮した応答表現の適応ができるか」に焦点を置いた研究開発を行う。
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研究実績の概要 |
対話システム自身の目標に向かって対話的にユーザの行動変容を促すシステム(説得対話システム)を構築し、また対話においてユーザとの長期的な関係を考慮することを研究の目的とした。研究の計画としては、初年度は、まず説得目標設計の課題において、ユーザの状況や対話の文脈に応じてどのような説得を行うかについての研究を行うこととした。具体的には、1. WoZシステムを用いたマルチモーダル説得対話データの構築、2. 収集した対話データの分析、3. 長期的にユーザと関係を構築しようとする対話データの構築を行った。また、状況に応じて適切に応答することが可能な対話システムを構築するため、4. ユーザの視線情報を用いた対話データの収集を行った。 1では、対話知能学領域公募班の京都大学河原教授と連携を行い、アンドロイドロボットERICAに搭載された遠隔操作システムを用いて収集した対話データについて発表、公開を行った。 2では、1で収集した対話データに対してフェイスアクトの観点からアノテーションを行い、説得対話システムにおけるフェイス、ポライトネスの活用についての検討を行った。 3では、対話システムとの長期的な関係を構築することを指向して、過去に対話したことがありそれに基づく経験がある状況での2回目の対話という状況での対話データの収集、分析を行った。 4では、ユーザと長期的に円滑な関係を構築するため、特にユーザの視線に着目した対話データの収集と分析を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ユーザと長期的な関係を構築することができる対話システムを構築することを指向して、主としてデータの収集と分析を行った。4件の項目いずれについても外部発表を行っており、本研究課題は順調に進展しているといえる。 具体的には、アンドロイドロボットERICAを用いた遠隔操作による説得対話データ収集については、査読付き国際会議INTERSPEECHに投稿し採録された。 この収集した対話データに対してフェイスアクトの観点からアノテーションを行い分析した研究については、査読付き国際会議International Workshop on Spoken Dialogue Systemsに投稿し採録された。 対話システムとの長期的な関係を構築することを指向して、過去の対話とそれに基づく経験がある状況での2回目対話を収集した研究は、国内の言語処理学会年次大会で発表を行った。 ユーザの視線に着目した対話データの収集の研究は、国内の言語処理学会年次大会および人工知能学会SLUD研究会で発表を行い、SLUD研究会では若手萌芽賞を受賞した。
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今後の研究の推進方策 |
今後はここまで収集した対話データを元にシステム構築を行い、その運用を評価する。 また、近年GPTのような大規模言語モデルの活用が議論されており、そうした枠組みを活用してどう個人に適応した対話システムを構築するかについても議論する。
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