研究領域 | ゆらぎの場としての水循環システムの動態的解明による水共生学の創生 |
研究課題/領域番号 |
22H05241
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研究種目 |
学術変革領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
学術変革領域研究区分(Ⅰ)
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研究機関 | 大阪公立大学 |
研究代表者 |
加賀谷 渉 大阪公立大学, 大学院医学研究科, 病院講師 (20782577)
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研究期間 (年度) |
2022-06-16 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | マラリア / 媒介蚊対策 / リスク認知 / ケニア |
研究開始時の研究の概要 |
世界三大感染症のひとつであるマラリアは、媒介昆虫であるハマダラカの産卵が水場であるため、水環境と密接にかかわる。産卵場所は季節性の水溜りや動物の足跡など不安定で、同定、解消が困難である。また、マラリアの世界的な感染状況は、2000年頃からの新たな対策ツールの展開で大きく改善したが、近年熱帯アフリカを中心に停滞、感染ゼロへの最後の一押しを見いだせていない。そこにはツールの開発と分配の先に、住民のリスク認知とそれに基づくツールの受容に課題がある。本研究ではシチズンサイエンスを用いて、ハマダラカの繁殖地を網羅的に観察、可視化すると共に、住民のリスク認知を向上させ、新たな草の根の対策モデルを提示する。
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研究実績の概要 |
本年度はベースラインとなるデータ収集を実施した。Suba South, Suba North subcounty内において、学童を対象とした横断的マラリア調査を実施し、室内残留型殺虫スプレー(IRS)の実施後、一度減少したマラリア感染率に再興の兆しがあることを明らかにし、現在、これらのデータについて解析を進めている。特に高いマラリア感染率が継続している地区Ngeri, Nyagwetheにおいては家屋におけるハマダラカ採取を実施し、依然としてハマダラカ分布密度が高く、特にAnopheles stephensiが中心となっていることを明らかにした。これらのデータは、今後、シチズンサイエンスアプローチにおいて収集されるハマダラカ繁殖地データとの相関を検討することが可能になる。また、シチズンサイエンスアプローチの根幹となる、写真撮影によるマラリア繁殖地の把握がどのようにして可能であるか、研究協力者によるproof-of-concept surveyを実施した。データ収集方法や用いるツール、研究者側からの指示伝達方法を改良することで、期待されるデータの収集が可能となった。集められたデータは別研究プロジェクトでのAIによる解析にもつなげている。 これらのフィールド活動に加えて、当研究計画で提案するシチズンサイエンスアプローチを、community health volunteer(CHV)を中心とした地域保健システムの活性化プロジェクトとのカップリングの可能性についてを検討し、ひとつの介入試験として実施する計画を議論した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ベースラインのデータ収集ならびにproof-of-conceptとなる調査を実施することができ、次年度のシチズンサイエンスアプローチ実施、評価の道筋がつけられたため。
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今後の研究の推進方策 |
本年度の予備調査の結果に基づき、実際に対象地域住民を巻き込んだデータ収集と、その評価を展開していく。展開にあたっては、別事業で実施されるcommunity health volunteerを中心とした地域保健システムの活性化のプロジェクトと協働した介入とし、相乗効果を期待する。
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