研究領域 | 極限宇宙の物理法則を創る-量子情報で拓く時空と物質の新しいパラダイム |
研究課題/領域番号 |
22H05248
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研究種目 |
学術変革領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
学術変革領域研究区分(Ⅱ)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
沼澤 宙朗 東京大学, 物性研究所, 助教 (10912652)
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研究期間 (年度) |
2022-06-16 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 量子重力 / 非平衡 / 対称性 / 時間反転 / 量子情報 / 物性理論 / エンタングルメント / 対称性とトポロジー / ホログラフィー原理 / 量子開放系 |
研究開始時の研究の概要 |
一般相対論と量子力学は20世紀における物理学の大きな成果であるが、その融合である量子重力は未完の理論である。本研究では、量子重力を量子情報及び物性理論の立場から研究する。それを通じて量子力学と一般相対論がどのように統合されていくかを研究し、時空が量子系から創発するメカニズムを明らかにする。また、そのような無矛盾な量子重力から生じる低エネルギー有効理論が満たすべき制限を、量子情報及び物性理論の側面から研究し明らかにする。その上で、この記述が我々の時空や素粒子に対してどのような予言を与えるかを解明する。また物性理論における量子情報や、非平衡領域における相構造を解明し、量子重力の問題に応用していく。
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研究実績の概要 |
物性と量子重力において対称性は重要な役割を占める。特に時間反転対称性は次元によらずに系を特徴づける対称性として幅広い文脈で現れる重要な対称性である。それらの性質をより広い文脈で解明するべく、両者の視点から時間反転対称性の研究を行った。 対称性の量子アノマリー及びそのトポロジカル相との関係は非常に重要である。ところが、これらは主に基底状態で議論されており、特に非平衡領域や一般の量子チャンネルによる状態変化のもとでは、量子アノマリーとトポロジカル相のどちらも理解されていない。そこで、我々はSachdev-Ye-Kitaev模型を用いてフェルミオン系の量子マスター方程式の対称性による分類を行った。また散逸を含む場合の量子カオス(複素エネルギー準位統計)にアノマリーが反映されることも示した。これらは物性の文脈では開放系の量子カオスや非平衡トポロジカル相の理解の進展に役立ち、また量子重力でもブラックホール生成と蒸発において対称性から課される制限を与えるなど両者の文脈で重要な貢献をしたと考える。 量子重力では全ての対称性は近似的大域対称性であるか、もしくはゲージ対称性になっていることが期待される。一方、CPT対称性は量子重力とどう整合性が取れているのかが謎であった。そこで我々は、時間反転を含む対称性のゲージ化の定式化を行い、その性質を調べた。まず統計力学と整合性の取れた量子重力の理論では、CPT対称性はワームホールの生成によって自然にゲージ化されていることを発見した。さらに、閉じた宇宙では量子力学は実数的な構造だけを持っており、通常の量子力学の複素構造は創発するものであるということもわかった。これらの成果によりCPT対称性がゲージ対称性として扱われることによって量子重力と整合性が取れたこと、また量子力学と重力の密接な関係の理解にもつながったという意味で重要な成果になったと考える。
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現在までの達成度 (段落) |
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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