研究領域 | 超温度場材料創成学:巨大ポテンシャル勾配による原子配列制御が拓くネオ3Dプリント |
研究課題/領域番号 |
22H05290
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研究種目 |
学術変革領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
学術変革領域研究区分(Ⅱ)
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
松本 洋明 香川大学, 創造工学部, 教授 (40372312)
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研究期間 (年度) |
2022-06-16 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
8,320千円 (直接経費: 6,400千円、間接経費: 1,920千円)
2023年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
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キーワード | Al基セラミックス複合体 / レーザ粉末床溶融結合法 / SiC/Al4SiC4相 / 界面反応 / レーザ吸収率 / Al4SiC4相 / アルミ基炭化ケイ素複合材料 / 過昇温化 / 非平衡Al4SiC4 / 機械的特性 |
研究開始時の研究の概要 |
AlSi10Mg/SiC複合体をモデル材料として,複合粉体(出発)においてSiCの粒度および体積率を変化させレーザ粉末床溶融結合法を実施する。ここでは金属粉体(Al)とセラミックス粉体(SiC)でのレーザ吸収率の大きな差異(AlSi10Mg:0.07 SiC:0.78)を起点した超温度場生成に由来した複合粒子間における界面反応を律速した非平衡組織形成(SiC/Al4SiC4ハイブリッド相)を図る(セラミックス形成を促進し,Alはそれを促進・緻密化するための媒介の役割として転化)。並行して有限要素解析(計算)・機械学習も援用して温度解析およびプロセスと組織形成をリンクする作用機構を解明する。
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研究実績の概要 |
レーザ粉末床溶融結合法(L-PBF)では急速で高温までの加熱と急速な冷却過程により特異な組織(例えば非平衡組織)・複合化組織を形成する事が可能である。本研究では,金属粉体(AlSi10Mg)とセラミックス粉体(SiC)の複合粉体を出発原料として,レーザ吸収率(Fiber-Laser)の差異を起点とした複合粒子界面における過昇温化(超温度場の可能性)と,それに由来するSiC粒子界面からの界面反応相(Al4SiC4)の生成について着眼した研究開発を実施している。本年度では,SiC分率を5~20vol%変化したAlSi10Mg-SiC複合体を作製,その緻密化特性・組織・Al4SiC4相の生成量を評価した。2022年度の成果は以下の通りである。SiC分率を増加する事(20vol%までに)で,同Edの条件でも相対密度は低下するものの95%以上の相対密度は得られていた。複合粉体のSiC分率(出発)およびEdに対するSiC粒子の反応率(造形後でのSiC消失率/出発原料でのSiC分率)の結果より, SiC分率(出発)が15vol%までに増加するに伴い反応率が増加し,Al4SiC4相への反応生成が促進した事が分かった。これはSiC分率(出発)が増加する事でAlの溶融温度が増加,もしくはSiC粒子界面での温度勾配が更に増加した事を示唆している。製造した造形体の組織では,SiC粒子を複合化する事で複合化しない場合と比較してAl相(fcc)の<001>の結晶配向性が強化される。これはSiC粒子を起点としてAl溶融温度が増加したためである。更に,SiC粒子界面から板状(or 針状)のAl4SiC4相が結晶成長して,その周辺に界面反応で同時に生成するSi相が濃化している様子がTEM観察より明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度では,AlSi10Mg/SiC複合粉体を出発原料とする事でL-PBF過程でAlメルト域でより高温化され,それに伴いAl4SiC4相の形成(界面反応)が促進する事を明らかとし,多量のSiC/Al4SiC4セラミックスを含有する造形体の製造に成功しており,おおむね研究は順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
(1) プロセス最適化:20vol%SiC造形体において,緻密で多量なAl4SiC4相を生成する加工条件を最適化する。また複合粉体の造形においてどれほど温度が増加するのか,定量解析(温度測定)にトライする。また基礎的にはAl4SiC4相の生成過程を明らかとする(高い温度勾配の発現の可能性も含めて)。具体的には,SiCの粉末粒度を調整し(5μm, 15μm, 30μm),微細粒化に伴うAl4SiC4相の生成の促進を図る。加えて,緻密化およびAl4SiC4相の生成を促進させるためL-PBF過程で1度のレーザ照射後に同一な層で再度レーザ照射する(同一層で2度レーザ照射するダブルスキャン方式(DS)を実施)L-PBFを実施する。このように,出発原料・プロセス条件を制御して,良質(緻密)で多量なSiC/Al4SiC4セラミックス相を含有する複合体を創製する。並行して,製造した複合体については,硬さ,圧縮特性,ヤング率の特性を評価し,複合化(多相化)・Al4SiC4相生成の影響を体系化・優位性を明らかとする。加えて,これらの機械的特性に及ぼす複合化(多相化)の影響・作用機構を学術的に明らかとする。 (2) AlSi10Mg/SiC複合粒子を起点とした温度分布・温度勾配・組織評価:AlSi10Mg/SiC複合粒子(0,5,10,15,20vol%)におけるレーザ吸収率の実験的測定を実施し,複合粒子間のレーザ吸収率の差異を起点としたL-PBF過程における温度分布・温度勾配を実験的および理論計算により評価する。また造形体においてSiC粒子界面に着眼したAl4SiC4相の形成過程を詳細な組織評価(SEM, EBSD, TEM)を介して解明する。
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