研究領域 | 超温度場材料創成学:巨大ポテンシャル勾配による原子配列制御が拓くネオ3Dプリント |
研究課題/領域番号 |
22H05292
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研究種目 |
学術変革領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
学術変革領域研究区分(Ⅱ)
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研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
永瀬 丈嗣 兵庫県立大学, 工学研究科, 教授 (50362661)
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研究期間 (年度) |
2022-06-16 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
8,320千円 (直接経費: 6,400千円、間接経費: 1,920千円)
2023年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
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キーワード | 凝固 / デンドライト / 電子顕微鏡 / ミクロ組織 / 金属 / 金属3DP / 超温度場 / 金属3Dプリンター / 積層造形 |
研究開始時の研究の概要 |
絶対界面安定理論の点から凝固現象とアモルファス相の結晶化を対応させ、超高圧電子顕微鏡法を用いて、三次元ナノスケールデンドライトの成長を動的に捉えることにより、これまで達成されていなかったナノスケール高速成長3Dその場観察を達成する。さらに、数値シミュレーションに必要不可欠な基礎物性値と機械学習に必要な特徴量であるデンドライトチップ曲率半径を収集し、計算材料学・機械学習との融合による金属3Dプリントに対応した新たな凝固学の構築に挑む。
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研究実績の概要 |
金属3DPで達成される"超温度場"では、"熱的溶融・機械的溶融"・"無分配凝固"・"超急速成長"・"ナノスケールデンドライト(ナノデンドライト)"などのキーワードで表される特異な溶融・凝固モードが発現する。本研究では、超温度場において実現される凝固現象に特有と考えられる"ナノスケールデンドライト"に注目し、特徴量として、回転放物体近似における曲率半径、一次デンドライトアームの成長方位、およびデンドライトの形態などを取り上げ、汎用の透過電子顕微鏡法に加え、超高圧電子顕微鏡法とNetwork tele-microscopyを駆使した解析を試みた。Fe-Si-B金属ガラスリボンを、電子顕微鏡内その場加熱およびその場観察することで、ナノスケールの曲率半径を持つナノスケールデンドライトが金属ガラスに分散した試料を得た。4つの主軸をもつナノデンドライト形成の透過電子顕微鏡その場観察が達成された。ナノスケールデンドライトを、超高圧電子顕微鏡Hitachi H-3000を利用し、Network tele-microscopyを利用して、複数の場所にて同時観察を行った。電子回折図形の解析の結果、デンドライト一次アームの優先成長方位は[001]であると解析された。デンドライト一次アームの曲率半径を、画像解析と回転放物体近似をもとに測定した結果、およそ10 nm程度の値が得られた。デンドライトの成長速度は一定ではなく、時間とともに減少した。実測したデンドライト一次アームにおける曲率半径を、絶対界面安定理論をもとに考察・検証した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定では、3Dナノデンドライト観察を予定していたが、コロナ禍における出張規制のため電子顕微鏡実験が予定通りに進まなかった。コロナ禍において計画した実験を行うため、Network tele-microscopyという遠隔観察法を導入することで、電子顕微鏡観察実験の継続を試みた。その結果、2Dデンドライトまでの観察は達成された。一部に計画よりも遅れた部分もあるものの、新たにNetwork tele-microscopyを通じた共同研究の環境を整えられたという成果もあることから、総合的に見て概ね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
現時点で構築中ではあるが運用可能な2K network tele-microscopyを利用して、他の研究グループと連携しながらナノデンドライトの解析をスタートさせる。さらに、より高解像度の4K network tele-microscopyを実現することによって、世界最高加速電圧を達成可能な超高圧電子顕微鏡の高解像度画像を遠隔観察可能とする、次世代network tele-microscopyを利用した連係研究の可能性を探索し、ナノスケール3Dデンドライトの観察を達成したいと考えている。
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