研究領域 | Slow-to-Fast地震学 |
研究課題/領域番号 |
22H05296
|
研究種目 |
学術変革領域研究(A)
|
配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
学術変革領域研究区分(Ⅱ)
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
宇野 正起 東北大学, 環境科学研究科, 准教授 (50748150)
|
研究期間 (年度) |
2022-06-16 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
9,620千円 (直接経費: 7,400千円、間接経費: 2,220千円)
2023年度: 4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2022年度: 4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
|
キーワード | 地化学機械学習 / Slow-to-Fast地震発生帯 / シリカ輸送 / 沈み込み帯 / 変成作用 / 原岩組成推定モデル / 物質輸送 / シリカ / 四万十帯 / 三波川変成帯 / 泥質片岩 / Slow-to-Fast地震 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は地化学機械学習のアプローチより独自に開発した,元素輸送量推定モデルを用いて,付加体から変成帯における様々な温度・圧力条件を被った変質岩のシリカ輸送量を逆解析し,Slow-to-Fast地震発生帯におけるシリカ輸送量の空間分布を物質科学的に明らかにするとともに,Slow地震およびFast地震発生域における亀裂閉塞過程の解明を目指す.
|
研究実績の概要 |
本年度は,全球の堆積物の化学組成データをコンパイルし,その組成空間上の相関を機械学習により学習することで,少数の元素濃度から全元素濃度を推定する原岩組成推定モデルを構築した.特に,主要元素の濃度を復元するために,水への溶解度の低い不動元素の濃度比から主要元素濃度を推定するモデルを構築した.その結果,4-6つの不動元素を入力とすれば,SiO2濃度を誤差5%程度で推定できることが明らかになった.また,不動元素濃度の比から,不動元素濃度の絶対値を求めることも可能であることが明らかになった.機械学習のアルゴリズムとしては予察的にサポートベクター回帰,回帰木,ガウス過程回帰を用いているが,ガウス過程回帰による予測が最も精度が良い.今後,より高精度である勾配決定木をもちいたモデルを構築する予定である. 上記のモデルを,浅部Slow地震発生領域に相当する四万十帯および,Fast地震発生領域から深部Slow地震発生領域に相当する三波川変成帯の泥質変成岩の化学組成データに適用した.その結果,四万十帯においては顕著なSiO2の流出が検出され,その元素移動量の平均値は約-10%であった.一方,三波川変成帯では顕著なSiO2の付加が検出され,その元素移動量の平均値は約+30%であった.このことは,沈み込み帯の地震発生領域の深さや位置によって,シリカの移動様式が大きく異なることを示唆している. 三波川変成帯では,低変成度から高変成度まで系統的に泥質片岩のサンプリングをおこなっており,今後変成帯内部や露頭スケールでのシリカの移動形態について解析を進める予定である.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
泥質片岩に対する主要元素の原岩組成復元モデルを構築することができている.さらにそれをSlow-to-Fast地震発生帯に相当する四万十帯および三波川変成帯に適用することで,地質帯によるシリカ輸送挙動の違いを明らかにしつつある.地質帯内部の野外調査も同時に進めており,今後より詳細なシリカ輸送量の空間分布や,シリカ輸送メカニズムの解明が期待される.
|
今後の研究の推進方策 |
三波川変成帯については,採取した試料の解析を進めるとともに,ハンディXRFやポータブル赤外分光計を併用した野外調査により,露頭スケールでのシリカ輸送量の分布を把握する.四万十帯については実地にサンプリングに赴き,シリカ輸送量の地域差を把握する.さらに,冷たい沈み込み帯の代表例であるニューカレドニアに赴き,冷たい沈み込み帯におけるシリカ輸送量の解明を進める.原岩組成推定モデルに関しては,教師データである全球の堆積物の化学組成データについてさらに精査を進めるとともに,機械学習アルゴリズムを勾配決定木に変更することで,さらに精度の高いモデルを構築する.
|