研究領域 | Slow-to-Fast地震学 |
研究課題/領域番号 |
22H05300
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研究種目 |
学術変革領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
学術変革領域研究区分(Ⅱ)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
安藤 亮輔 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 准教授 (10455256)
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研究期間 (年度) |
2022-06-16 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
2023年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2022年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 島弧-海溝結合系 / 地震サイクルシミュレーション / 地震発生 / 東北沖地震 / 階層行列法 / 準動的地震過程シミュレーション / 地震繰り返し / 海溝型地震 / 内陸型地震 / 活断層 / 応力場 / 大地震 / 動的破壊 / 中央構造線 |
研究開始時の研究の概要 |
海溝の巨大なプレート境界断層と島弧の多数の内陸活断層は“島弧-海溝結合系”としてどのように相互作用し,その地震準備過程-発生過程はどこまで物理モデルで再現・予測可能 であろうか?この問いに,超大規模計算機能力と稠密観測データを用いて正面から答えるのが,本研究の目的である.本研究では,スローな応力蓄積や震源核形成(準備過程)からファーストな破壊伝播(発生過程)まで地震過程を記述する物理モデルの構築・検証,ならびに大規模数値計算の基盤となるアルゴリズムの開発を行う.未解明の問題が多いプレート境界地震と内陸地震の相互作用を,地震発生シミュレーションの枠組みで実証的に解明することを目指す.
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研究実績の概要 |
日本列島では,海溝における沈み込みと島弧内陸での変形により,それぞれ海溝型地震と内陸活断層型地震が発生する.本研究は,島弧内陸と海溝という従来は個別領域で閉じた形でモデル化されていた応力蓄積過程と地震による断層破壊および応力解放の過程を,それら領域間の相互作用を考慮した形でモデル化する. 今年度は,東北地方と九州地方において,典型的な構造断面を考慮した2次元モデルをそれぞれ構築した.両地域では,それぞれ異なるテクトニック応力の特徴を示しており,東北地方は前弧領域での正断層応力場と背弧領域での逆断層応力場という空間分布が顕著であり,九州地方では,正断層場と 横ずれ応力場が顕著である.このように地域間で異なる性質を示す背後にある物理機構の理解を目的とした.モデル構築にあたっては,最近の理論研究で重要性が指摘されている,応力蓄積過程におけるプレート境界断層の幾何形状の効果に着目し,東北モデルにおいては太平洋プレート上面の形状を,九州モデルにおいてはフィリピン海プレート上面の形状を,それぞれ観測データに基づいた構造モデルを参照して実際の形状に即したモデルを構築した.また,パラメタスタディーとして上盤プレートの形状を局所的に変化させ,火山フロントの熱効果による薄化,スラブ冷却による厚化を考慮した. シミュレーションを実施した結果,東北地方で観測されるような前弧側での正断層場と背弧側での逆断層場という特徴的な空間分布が,海洋プレートの沈み込みに伴う屈曲の効果で生じることが明らかとなった.また,九州地方のようにプレートの沈み込み角が大きいと,正断層場が生じる領域が島弧内陸の全域に広がり,観測と整合的な空間分布となることが分かった.さらに,プレート境界では数100年間隔で,内陸では数1000年間隔で,それぞれ一般的な観測的知見と整合的な間隔で自発的に地震を発生させることに成功した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまで,モデル構築とシミュレーションの実施については概ね予定通りに進捗している.修士論文としての取りまとめは完了した.国際誌への投稿論文としてのとりまとめが当初予定よりやや遅れているが次年度に実施する.
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今後の研究の推進方策 |
概ね計画通りに進んでいるので,この方向で研究を推進する.大学院生に技術継承することで,持続的に研究を遂行する.
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