研究領域 | Slow-to-Fast地震学 |
研究課題/領域番号 |
22H05317
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研究種目 |
学術変革領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
学術変革領域研究区分(Ⅱ)
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
今西 和俊 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 地質調査総合センター, 副研究部門長 (70356517)
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研究期間 (年度) |
2022-06-16 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2022年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 歪・回転地震動 / 非せん断破壊 / 臨時観測 / 歪・回転成分 / モーメントテンソル解 / ゆっくり地震 / アレイ観測 |
研究開始時の研究の概要 |
ゆっくり地震はこれまで、プレート境界におけるせん断破壊として説明されてきた。しかし、かつての沈み込み帯で形成され、現在地表に露出している断層破砕帯の観察によると、100%せん断破壊で記述できるほど単純なプロセスではないことが伺える。新たな知見が蓄積されてきた現在において、「ゆっくり地震=せん断破壊」という認識を再考してみる価値がある。本研究では新たな観測量(地動の歪・回転成分)を加えたメカニズム解推定法を開発し、ゆっくり地震に含まれる非せん断破壊成分を十分な精度で推定することに挑戦する。そして、ゆっくり地震の非せん断破壊成分の実態とそれが意味する背後の物理機構を明らかにする。
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研究実績の概要 |
本研究では新たな観測量(地動の歪・回転成分)を加えたモーメントテンソル解推定法を開発し、ゆっくり地震や通常地震に含まれる非せん断破壊成分を十分な精度で推定することを目指している。 令和4年度は、歪・回転成分を加えたモーメントテンソル解推定法のプログラムを研究協力者が作成し、産総研が西南日本に展開している歪観測点のデータを加えた場合に、どのくらい推定結果が改善されるかについて、様々な数値実験を行った。SN比が十分ある場合、歪成分は並進成分と同等の拘束力があること、同時に使用した場合はメカニズム解の推定精度を向上させられることを確認した。この成果は、日本地震学会2022年度秋季大会で発表した。また、回転成分を推定するための臨時観測を、愛媛県新居浜市の北東約1.5km沖にある大島で開始した。広帯域地震計4台を口径約1kmの範囲に設置した。人為ノイズが非常に低い場所に設置したため、高品質のデータが取得され始めている。 以上のように、解析方法、観測データ両面において、2年目における本格解析の準備を整えることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
地動の歪成分、回転成分を加えたモーメントテンソル解推定法のプログラムを研究協力者がいち早く作成したことで、順調なスタートを切ることができた。今年度は特に、産総研の歪観測点のデータを加えた場合に、どのくらい推定結果が改善されるかについて、数値実験を行った。また、回転成分の観測を目指し、広帯域地震計4台によるアレイ観測を愛媛県新居浜市で2月初旬に開始した。総じてほぼ計画通りに進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
臨時観測点のデータ回収を3か月に1回ほどの頻度で行い、回収し次第、地動回転成分の抽出を進める。開発した手法を四国西部で発生する通常地震とゆっくり地震に適用し、ゆっくり地震の非せん断破壊の実態と背後の物理機構を解明する。
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