研究領域 | デジタル化による高度精密有機合成の新展開 |
研究課題/領域番号 |
22H05327
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研究種目 |
学術変革領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
学術変革領域研究区分(Ⅱ)
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
吉野 達彦 北海道大学, 薬学研究院, 准教授 (50756179)
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研究期間 (年度) |
2022-06-16 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
8,060千円 (直接経費: 6,200千円、間接経費: 1,860千円)
2023年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2022年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
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キーワード | C-H活性化 / ロジウム / 機械学習 / 量子化学計算 / 配座探索 / キラルカルボン酸 / キラルピリドン / 不斉触媒 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、第9族遷移金属触媒とキラルカルボン酸を用いた不斉C-H官能基化反応の開発において、半経験的量子化学計算と配座探索に基づくin silicoスクリーニング、および実験データに基づいた機械学習による補正を組み合わせた手法によって、高い選択性を実現する新規キラルカルボン酸の開発をおこなう。触媒構造の配座自由度の高さと触媒評価のための実験コストの高さが新規触媒開発のネックとなっている本触媒系において、本手法によってリーズナブルな実験コストと計算コストで、未知のキラルカルボン酸によるエナンチオ選択性を予測することで、研究の飛躍的な発展を目指す。
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研究実績の概要 |
キラル配位子のin silicoスクリーニングをおこなうためのスクリプトの開発とテストをおこなった。各エナンチオマーを与えるモデル遷移状態構造と、別途作成したキラル配位子の構造を、ユーザーのインプットに従って適切にマージし初期構造を作成、それをもとに配座探索とエネルギー計算を連続的におこなう手続きを自動化した。またエネルギー精度向上のため、各構造について半経験的レベルでの振動計算による熱力学補正値の算出も組み込んだ。以上をMPI並列化することで、クラスタ・スーパーコンピュータ環境で効率よく大規模に計算できる環境を構築した。これを用いて種々モデル系の計算やキラルカルボン酸の計算をおこなったが、一部の立体障害の大きな系で計算の結果が安定しないことが判明した。これは利用してる配座探索プログラムが、必要な配座を網羅的に出力できないこと、一部キラリティが計算中に反転してしまうことなどが原因として考えられた。そこで配座発生を1回だけでなく複数回実行し結果を統合する処理に変更し、さらに指定部分構造のキラリティの反転がおきた構造を除外する処理を組み込んだ。今後はこれをもちいて設計したキラルな触媒を幅広く探索していく。 一方で実験による検討では、キラルカルボン酸を用いた場合では反応性が不足することがわかったため、今後はキラルなピリドン類に絞って検討を行う予定である。既に一部合成検討をすすめているが、難航しているため、計算によるスクリーニングによって、より合成しやすい配位子の設計をおこないたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
大規模に計算をおこなう環境やツールの準備は問題なく進んだ。実験はやや遅れてはいるが、想定内である。
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今後の研究の推進方策 |
キラルピリドン類のin silico スクリーニングを大規模に進めつつ、合成検討を進める。また金属上の配位子についても、その影響を検討していく予定である。
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