研究領域 | デジタル化による高度精密有機合成の新展開 |
研究課題/領域番号 |
22H05328
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研究種目 |
学術変革領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
学術変革領域研究区分(Ⅱ)
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
久保田 浩司 北海道大学, 工学研究院, 准教授 (60824828)
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研究期間 (年度) |
2022-06-16 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
8,060千円 (直接経費: 6,200千円、間接経費: 1,860千円)
2023年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2022年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
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キーワード | メカノケミストリー / クロスカップリング / 固体反応 / ボールミル / データ科学 / メカノケミカル合成 / 二軸混錬機 / フロー合成 / 機械学習 |
研究開始時の研究の概要 |
近年、ボールミルを用いたメカノケミカル反応が、クリーンな合成技術として注目されている。しかし、ボールミルの振動数、ボールの数やサイズ、材質などのパラメータが反応効率に与える影響を予測することは困難であり、膨大なスクリーニングが必要であった。本研究では、機械学習・データサイエンスを用いてメカノケミカル反応の迅速な最適化を行い、溶媒を極力使用しない革新的な環境調和型有機合成プロセスの構築を目指す。
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研究実績の概要 |
近年、ボールミルを用いたメカノケミカル固体反応が、有害な溶媒の使用量を低減するクリーンな合成技術として注目されている。この方法では、金属製のボールを反応基質や触媒、量論反応剤とともに直接ジャーに入れ、素早く左右に振動し機械的に強く攪拌することで、高い反応効率を実現することができる。実際に、本研究代表者は、固体状態で進行する新反応の開発に成功し、従来の溶液条件の効率が大幅に改善されることを明らかにするとともに、メカノケミカル条件でのみ進行するユニークな反応も発見している。本研究では、このボールミル反応をフローメカノケミストリーへと展開し、実用化を志向した反応開発を検討した。固体でのフロー合成を実施するために、二軸混錬押し出し機に着目した。最近になって、数グループから二軸混錬押し出し機を用いたフローメカノケミストリーに関する研究成果が報告されているが、有機合成への本格的な応用は未知数である。初年度にあたる本年度では、二軸混錬押し出し機の装置導入に向けた機種選定、ならびにテスト実験を検討した。テスト実験の結果、我々が独自に開発したPd/SPhos/1,5-cod系を用いた固体クロスカップリングが、二軸混錬押し出し機を用いた連続固体フロー合成条件でも効率よく進行することを見出した。反応時間は5分程度で完結し、目的のクロスカップリング生成物を1分あたり2グラム程度のペースで与えた。今後は、反応条件の精査を行っていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
フローメカノケミストリーの実現に向けて、装置の導入とテスト実験で良好な結果が得られたため、研究はおおむね順調に進展している。またこの研究を推し進める中で、いくつか関連する新しい固体メカノケミカル反応の開発に成功した。1. Angew. Chem. Int. Ed. 2022, 61, e202207118.; 2. Chem. Sci. 2023, 14, 499.; 3. J. Am. Chem. Soc. 2023, 145, 6823.
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今後の研究の推進方策 |
フローメカノケミストリーを行うための二軸混錬押し出し機を研究室に導入することができたため、本格的に検討をスタートする。まずは、我々が独自に開発した固体クロスカップリング反応の連続フロー化を検討し、100mmolスケール程度の反応が問題なく進行する条件を精査する。この際、混錬スピードや反応混合物のレオロジーをコントロールするための添加剤等を細かく検討する。その後、我々が開発したメカノレドックス反応やメカノケミカルグリニャール試薬の連続固体フロー合成を検討していく。
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