研究領域 | デジタル化による高度精密有機合成の新展開 |
研究課題/領域番号 |
22H05336
|
研究種目 |
学術変革領域研究(A)
|
配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
学術変革領域研究区分(Ⅱ)
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
土井 隆行 東北大学, 薬学研究科, 教授 (90212076)
|
研究期間 (年度) |
2022-06-16 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
8,060千円 (直接経費: 6,200千円、間接経費: 1,860千円)
2023年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2022年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
|
キーワード | フロー合成 / デジタル有機合成 / エノラート / 不斉合成 |
研究開始時の研究の概要 |
多様なペプチドと多様なヒドロキシカルボン酸の網羅的な組み合わせによる中分子環状デプシペプチドライブラリーの構築を目指し、光学活性なヒドロキシカルボン酸を立体異性体も含め、網羅的に、かつ簡便に合成できるフロー合成法を確立する。フロー反応の条件について機械学習を活用し効率よく最適化し、誰もがフロー装置をセットするだけで望むヒドロキシカルボン酸を合成できる自動合成化を目指す。得られた結果はデジタルデータとして収録し、まとまった成果が得られたところで公開する。
|
研究実績の概要 |
ヒドロキシカルボン酸部位に多様性を持たせるため、立体配置、炭素骨格、置換基の異なるリンカーを自在に合成できる合成法の開発を目指し研究を進めている。1)鍵反応として不斉アルドール反応を検討した。すなわち、Evansキラル補助基を有するアシルオキサゾリジノン誘導体からエノラートをZー選択的に生成し、直ちにアルデヒドと反応させて望むアルドール付加体を立体選択的に得る試みをフロー法で行った。基質と塩基の濃度と流速、反応温度、レジデンス時間を検討して、エノラートを調製した。そこに添加するアルデヒドの濃度とその流速、ならびにアルドール反応の温度とレジデンス時間を検討した。その結果、良好な収率で反応が進行することを明らかにしたが、反応条件を見出すために、かなりの実験が必要であった。多くの反応パラメーターを効率よく最適化することが必要であり、今後機械学習を利用して効率化を目指す。2)分子内クライゼン縮合を実施した。用いる塩基と溶媒を検討して、ラセミ化の起こらないテトラミン酸合成法をフロー法を用いて実現した。反応時間を秒単位で制御し、生成物を直ちに反応系外に放出することができるのが利点である。3)光触媒を用いた脱炭酸ー酸化を実現し、アミノビニルシステイン構造の簡便な新規合成法を見出した。光反応用のフローセルを共同研究で利用し、この反応がフロー法で実施できることを見出した。今後反応条件の最適化を行う予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
エノラートを活用した不斉アルドール反応、および分子内クライゼン縮合をフロー法で実現した。光触媒を用いた脱炭酸ーアルケン形成反応を開発し、光反応をフロー合成で行えることを見出した。
|
今後の研究の推進方策 |
キラル補助剤を用いた不斉アルドール反応あるいは不斉アルキル化について、フロー法を用い、熟練者でなくても反応を再現できるように反応設備・実験条件を精査する。エノラート形成における基質の濃度、流速、滞留時間、反応温度の最適化、および求電子試薬との反応における基質の濃度、流速、滞留時間、反応温度の最適化が必要であり、多くの反応パラメータを最適化する必要があるので、機械学習を活用する。ランダムに反応パラメーターを変え、できるだけ少ない実験回数で反応パラメータを最適化する検討を行い、これを多様な基質において応用できるようにする。
|