研究領域 | 生物を陵駕する無細胞分子システムのボトムアップ構築学 |
研究課題/領域番号 |
22H05393
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研究種目 |
学術変革領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
学術変革領域研究区分(Ⅱ)
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研究機関 | 広島大学 (2023) 東北大学 (2022) |
研究代表者 |
内田 康雄 広島大学, 医系科学研究科(薬), 教授 (70583590)
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研究期間 (年度) |
2022-06-16 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
9,620千円 (直接経費: 7,400千円、間接経費: 2,220千円)
2023年度: 4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2022年度: 4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
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キーワード | 脳機能の改変 / 中枢関門 / 脂質ナノ粒子 / プロテオミクス |
研究開始時の研究の概要 |
脳は、最も制御が難しく、脳機能を制御できる超越分子システムはまだ開発されていない。高分子を自由に脳へ届けるデバイスは、中枢疾患治療、健康長寿の促進、脳機能の改変、脳の再生、など生物を陵駕・超越できる画期的な超越分子システムである。本研究では、バイオ分子、有機化合物とマイクロデバイスの技術を組み合わせた実用化に資する無細胞分子システムを確立し、脳機能を制御するための基盤技術を構築する。
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研究実績の概要 |
マイクロ流体デバイスを用いて、粒子の構成成分の脂質と遺伝子をそれぞれ異なる入り口から送液し、流路内のジグザグ構造によって互いの相互作用が最大化され、均一な粒子径の遺伝子搭載型脂質ナノ粒子を作成できる。粒子径とその均質性は、細胞や生体への遺伝子導入において鍵を握る要素であり、この装置はこの点で優れている。本装置を用いて、粒子径の異なる粒子を作成し、脳血管内皮細胞株(hCMEC/D3細胞)への遺伝子導入効率を計測し、効率が最大となる粒子径を解明した。また、粒子内に遺伝子を封入する効率を95%以上にできる装置条件を決定した。リポフェクタミンを比較対象として、ssPalmで作成した脂質ナノ粒子にGreen Fluorescent Protein (GFP)のmRNAを搭載し、hCMEC/D3細胞への遺伝子発現効率を計測した。遺伝子発現効率が95%と高い値が得られた。対照的に、リポフェクタミン処理では、全く発現しなかった。遺伝子導入できても細胞毒性があっては適切ではないため、細胞毒性も評価した。リポフェクタミン処理では、低濃度から顕著な毒性が示され、定量プロテオミクス解析においてリボソームやシャペロニンなどの細胞生存に重要な分子群の発現低下が示された。対照的に、ssPalm脂質ナノ粒子では、細胞形態やプロテオームに影響は出なかった。従って、ssPalm脂質ナノ粒子を用いれば、血液脳関門の細胞に高効率かつ低毒性で遺伝子導入できることが証明された。本成果をPharmaceutics. 2022 Jul 27;14(8):1560で発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画通りに血液脳関門の細胞へ効率よく遺伝子導入する方法を確立できたため。
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今後の研究の推進方策 |
In vitro解析及びin vivo解析によって、脳の関門細胞に選択的に脂質ナノ粒子をデリバリーできることを実証する。
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