研究領域 | 生物を陵駕する無細胞分子システムのボトムアップ構築学 |
研究課題/領域番号 |
22H05395
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研究種目 |
学術変革領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
学術変革領域研究区分(Ⅱ)
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研究機関 | 九州工業大学 |
研究代表者 |
佐藤 佑介 九州工業大学, 大学院情報工学研究院, 准教授 (60830560)
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研究期間 (年度) |
2022-06-16 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
9,880千円 (直接経費: 7,600千円、間接経費: 2,280千円)
2023年度: 4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
2022年度: 4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
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キーワード | DNAナノテクノロジー / 分子配置 / 疎水分子 / 人工分子システム |
研究開始時の研究の概要 |
細胞の機能を超えた「超越分子システム」の構築およびそのための学理確立において,構成要素間の相互作用を理解・制御することは重要である.水に可溶な親水分子の相互作用を調査・解析することは比較的容易だが,脂質膜などに局在する疎水分子を含む分子システム全体の構成要素の相互作用解析は技術的に困難である.本課題では,水中での扱いが困難な疎水分子を自在に配置・位置制御するための技術基盤を創出することを目指す.そのために,分子分解能でのアドレス性を持つDNAナノテクノロジーとDNAの疎水化技術を駆使し,本目的の達成を目指す.
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研究実績の概要 |
本研究の目的は,分子分解能でのアドレス性を持つDNAナノテクノロジーとDNAの疎水化技術を駆使し,水中での扱いが困難な疎水分子を自在に配置・位置制御するための技術基盤を創出することである.本年度は,疎水分子を保持するための「場」となる微小疎水場の構築に注力して研究を遂行した.DNAの塩基配列を精密に設計し,DNA二重らせんが2つ重なった環状構造を構築した.DNAを重ねた設計としているのは,脂質膜の厚みと同等にすることを意図したためである.そして,構築した環状構造の内側に脂質膜を保持するため,炭素鎖を骨格に持つDNA分子(疎水化DNA)を利用して内側が疎水的な環状DNAナノ構造(疎水化環状DNA)を構築した.疎水化環状DNAへの脂質膜の再構成を試みたところ,緩衝液の塩条件,混合する界面活性剤,静置温度など多くのパラメータを適切に調整する必要があることが示された.トラインドエラーの結果,疎水化環状DNAに脂質膜が保持されていることを示唆する結果が得られた.そして,構築した環状構造を配置する土台としてのDNAオリガミ構造を設計・構築した.DNAオリガミの形状は,長方形型とし,2つの長辺付近にそれぞれ4つの結合部位を設けた.DNAオリガミ上に環状構造が結合している様子をイメージングにより取得することができた.一方で,結合の効率が低いという問題点も明らかとなった.この問題に対処するため,結合部位の空間的な位置関係を再度調整するとともに,緩衝液の塩条件を微調整することを検討している.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実績の概要にも記述したように,おおむね想定通りの成果が順調に得られている.
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今後の研究の推進方策 |
すでに着手しているDNAオリガミ上へ脂質膜を保持した環状DNA構造の配置を実施する.本年度の実績の概要の箇所でも記述したように,結合部位の空間的な位置関係を調整する必要が生じている.この点に関しては,DNAオリガミ構造から伸長するDNA鎖の位置を変更することで対応する.DNAオリガミの設計段階から,位置関係の修正が必要な可能性を考慮し,他の位置からもDNA鎖の新調が可能な設計としていたことから,大幅な計画の変更はない.
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