研究領域 | 生物を陵駕する無細胞分子システムのボトムアップ構築学 |
研究課題/領域番号 |
22H05429
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研究種目 |
学術変革領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
学術変革領域研究区分(Ⅱ)
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
岸村 顕広 九州大学, 工学研究院, 准教授 (70422326)
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研究期間 (年度) |
2022-06-16 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
9,620千円 (直接経費: 7,400千円、間接経費: 2,220千円)
2023年度: 4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2022年度: 4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
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キーワード | 人工オルガネラ / メンブレンレスオルガネラ / コアセルベート / 人工細胞 / 酵素反応 / 生体分子凝縮体 / タンパク質集積 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、「超越分子システムとしての機能共生型人工オルガネラ創製と実用化に向けた機能実証」に取り組み、ポリマーサイエンス、ナノ生体材料科学を基盤に、酵素などの生体分子や機能性ナノ材料などが「共生」して機能連携し、天然を超えるパフォーマンスを発揮する分子システムを開発する。特に、小胞型人工オルガネラ(ナノカプセル)と非膜型人工オルガネラ(マイクロ液滴)の開発を進め、実用化を見据えた研究の展開に取り組むとともに、本領域の計画班や公募班との連携を積極的に行うことで、領域の研究推進に貢献する。
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研究実績の概要 |
本研究では、「超越分子システムとしての機能共生型人工オルガネラ創製と実用化に向けた機能実証」に取り組み、ポリマーサイエンス、ナノ生体材料科学を基盤に、酵素などの生体分子や機能性ナノ材料などが「共生」して機能連携し、天然を超えるパフォーマンスを発揮する分子システムを実現することを目指している。特に、小胞型人工オルガネラ(ナノカプセル)と非膜型人工オルガネラ(マイクロ液滴)の開発を進めるとともに、本領域の計画班や公募班との連携を積極的に行うことで、領域の研究推進に貢献することを計画している。 今年度は、まず、共同研究基盤を固めることを意識して、小胞型人工オルガネラ(ナノカプセル)については、酵素封入型ベシクル(ナノカプセルの一種)の開発を進め、生体内で活用できる薬剤生産型ナノリアクターの論文を発表した。また、その発展版であるYolk-shell型ポリイオンコンプレックス(PIC)構造体についての基礎的知見をまとめ論文投稿した。明らかにされた基本原理をもとに、さらに、核酸をコンポーネントとした構造体の開発を進めた。その過程で、核酸のモノマーであるヌクレオチドを用いたPICを検討した。三リン酸を持つヌクレオチドのATPやGTPと、PEG鎖を持つポリ-L-リシンからPICを作製したところ、PLLがαヘリックスを形成し、その結果、ベシクルを切り開いたナノディスクが得られ、論文発表した。ナノディスクは1辺数umの正六角形構造を有しており、タンパク質を取り込めることから、タンパク質や燃料としてのATPを組み込んだ系として、超越分子システム作製のプラットフォームとして有用である。非膜型人工オルガネラについては、分子設計を詳細に検討して、タンパク質を取り込むデザイナーコアセルベートの研究結果を論文投稿した他、相対的な位置関係が制御された多相コアセルベートの作製で成果を得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
小胞型人工オルガネラ(ナノカプセル)と非膜型人工オルガネラ(マイクロ液滴)の開発において、ポリマーベシクル、Yolk-shell構造体、タンパク質集積用コアセルベート、PICナノディスクなどの超越分子システム構築のためのプラットフォームについて、領域内で技術提供するための基礎的論文を出版、あるいは、投稿することができたため、十分な進捗があったと判断した。今後、本公募班の計画を進めていくだけでなく、共同研究の推進を活性化させていく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
小胞型人工オルガネラの開発については、初年度の成果をもとに、PIC型Yolk-shell構造体を活用する手法を開拓する。これに複数酵素の搭載をしつつ、yolk内の含水率やナノ相分離構造の制御を試みる。加えて、ベシクル二枚膜化の手法も併用しつつマルチコンパートメント化をすすめ、段階的に機能素子を組み込んでいく合理的手法へと展開する。これを複数酵素反応系へと展開していくことで、新規超越分子システムの構築を行う。また、PICsomeでの知見を活用して、細胞内や細胞膜上の特定の部位に配置する技術へと展開し、生体内環境下での人工オルガネラの機能実証を行う。 非膜型人工オルガネラの開発については、前年度の成果をもとに、多相コアセルベートを用いた高活性・長寿命のタンパク質集積型マイクロバイオリアクターの構築に向けて開発を進める。今年度は、タンパク質の集積化を継続してすすめるほか、タンパク質が凝集するリスクを鑑み、タンパク質凝集抑制機能を持つ分子の導入を行い、性能の向上を目指す。さらに、環境変化や外部刺激に応答してタンパク質捕捉能のOn/Off制御への展開を目指す。
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