研究領域 | 生物を陵駕する無細胞分子システムのボトムアップ構築学 |
研究課題/領域番号 |
22H05438
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研究種目 |
学術変革領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
学術変革領域研究区分(Ⅱ)
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
新津 藍 国立研究開発法人理化学研究所, 開拓研究本部, 研究員 (10791064)
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研究期間 (年度) |
2022-06-16 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
9,880千円 (直接経費: 7,600千円、間接経費: 2,280千円)
2023年度: 4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
2022年度: 4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
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キーワード | 膜タンパク質デザイン / 合成生物学 / 分子動力学計算 / ペプチド化学 / 分子動力学 |
研究開始時の研究の概要 |
無細胞分子システムの構成部品として、脂質膜上に決まった数の機能性モジュール(酵素、有機分子等)を配置できる”土台”モジュールは、目的の化学反応の効率化や膜内外でのシグナル伝達等を実現する上で有用である。そこで本研究では天然タンパク質を超越した汎用性を持った、自己会合する膜貫通ペプチドモジュールを分子動力学計算とペプチド構造解析実験を相補的に利用しながら理論設計する。設計した膜ペプチドを他の機能性モジュールと連結することで新しい超越分子システム開発に貢献する。
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研究実績の概要 |
本研究では、無細胞分子システムのモジュールとして天然由来タンパク質を超越した汎用性を持ち、脂質二重膜中で自己会合する膜貫通αヘリックスペプチドをde novo設計する。これにより、分子システム構成部品の合理設計の基礎となり得る膜貫通αヘリックスが会合するメカニズムの普遍的なルールを発見する。特に既存の設計法では考慮されていなかった動的な会合メカニズムを組み込むことで、これまで挑戦的とされてきた新しい目標構造の精密設計を実現することを目指す。2022年度は事前検討で得られた4量体ペプチドの構造モデリング、そのアミノ酸配列を基盤とした数種のペプチドの合成を実施した。 ペプチドの構造モデリングでは、4量体のコイルドコイル構造を基盤としてモデリングツールを用いて立体構造最適化を実施した。これを脂質二重膜中に埋め込んだ分子動力学計算の初期構造について脂質の種類や組成の検討を行った。またペプチドの会合過程の分子動力学計算の準備として、脂質表面にペプチドが結合した構造をサンプリングするためのHMMM膜と会合していないペプチドを含む初期構造を作製した。ペプチド合成については、事前検討で用いたアミノ酸配列に付属して膜内で平行4量体になるようにペプチドを2種設計し、固相合成法によりペプチド試料を得た。このペプチド配列を用いて分子動力学計算により会合過程の予測を実施し、同時に合成ペプチドを用いた構造解析実験を行うことで膜貫通ペプチドモジュールの開発が推進できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画しているペプチド会合過程の分子動力学計算の準備、および実際に無細胞分子システムで利用できるペプチドモジュールの候補となるペプチド試料の準備が完了した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、分子動力学(MD)計算、構造解析実験、ペプチド合理設計の3つの課題を協調的に実施し、各ステップの結果を他のステップにフィードバックしていくことで4量体ペプチドモジュールの開発と理論設計方法の確立を効率的に推進する。 まず初年度に設計したペプチドの会合過程、およびペプチドのN末端の膜外領域にGFPタンパク質を導入したペプチド会合体の構造安定性について分子動力学計算を用いて確認する。GFPと膜貫通配列間のリンカーの長さを変化させて最適なリンカー長を検討する。並行して無細胞分子システムへの応用に向けて、設計ペプチドに可視化タグを導入し、イメージングにより脂質二重膜中での会合数・会合状態を確認する。ひきつづき上記の結果を基盤として、ヘテロ会合体、解離定数の改変を目指したペプチド配列設計を実施する。設計したペプチドの分子動力学計算および合成・構造解析を進め、必要に応じてアミノ酸配列の変更、異なる配列パターンの検討を行う。
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