配分額 *注記 |
6,760千円 (直接経費: 5,200千円、間接経費: 1,560千円)
2023年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2022年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
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研究実績の概要 |
二次元物質からなる有限サイズのファンデルワールスヘテロ構造に注目し,第一原理電子状態計算を実施し,熱電デバイスや,スピントロニクスデバイスへの応用が可能な新しい物質の探索を試みている。今年度の研究実績は主に次の2点である。(1)強磁性層によって形成されているファンデルワールス反強磁性体MnBi2Te4について、有限層の電子状態、異常ホール効果、熱電効果について調べ、三層のフェリ磁性相で、量子化された異常ホール効果を示すことを明らかにし、ゼーベック効果に誘起された巨大な異常ネルンスト効果を示すことを明らかにした。成果を論文 Y. Morishima, N. Yamaguchi, H. Sawahata, and F. Ishii, Appl. Phys. Express, 16 043003 (2023)として出版した。(2) 異常ホール効果と異常ネルンスト効果を効率的に計算する手法開発をおこなった。異常ネルンスト係数を計算するためには、興味ある温度より細かいエネルギー幅のメッシュで異常ホール効果の化学ポテンシャル依存性を調べる必要があり、多くの計算コストが必要となる。我々は運動量空間での局所的なベリー位相を評価することでベリー曲率を効率的に計算し、従来用いられてきたWannier90に実装されている手法よりも高速に異常ホール係数の化学ポテンシャル依存性が評価できることを明らかにした。この成果をH. Sawahata, N. Yamaguchi, S. Minami, and F. Ishii, Phys. Rev. B, 107, 024404(2023)として出版した。また、この手法により、ハイスループット計算を実施している。以上について、日本物理学会、応用物理学会、イタリア・トリエステにおける第一原理電子状態計算のワークショップとアメリカ物理学会で成果発表を実施した。
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