研究領域 | 2.5次元物質科学:社会変革に向けた物質科学のパラダイムシフト |
研究課題/領域番号 |
22H05463
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研究種目 |
学術変革領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
学術変革領域研究区分(Ⅱ)
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
小野 倫也 神戸大学, 工学研究科, 教授 (80335372)
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研究期間 (年度) |
2022-06-16 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 第一原理計算 / キャリア伝導 / ナノ界面 / 界面電子状態 / 磁気抵抗素子 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、界面のような2次元ナノ空間におけるキャリア伝導の高精度解析とデバイス設計・機能予測ができる計算技術を駆使し、高機能デバイス界面原子構造をデザインすることを目的とする。目的遂行のため、研究代表者が独自に開発した実空間差分法に基づく第一原理計算法・コードRSPACEを駆使し、①本学術変革領域で開発・発見された2次元層状物質を用いたスピントロニクス・バレートロニクスデバイス界面でのキャリア移動の予測、②①の予測に基づいた高機能デバイス用界面原子構造の提案を行う。さらに、③本学術変革領域内をはじめとする実証実験グループと連携し、デザインしたデバイスの機能実証を行う。
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研究実績の概要 |
強磁性金属とグラフェンや六方晶窒化ホウ素(h-BN)の2次元層状材料界面は、磁気抵抗素子の構造として期待されている。強磁性金属電極層として、高い垂直磁気異方性と薄膜の低いギルバートダンピング定数をもつ鉄・パラジウム(FePd)や、グラフェンの格子とよく整合するNi(111)、Co(0001)、FeNi(111)などが候補に挙げられている。金属・2次元層状材料界面の物性は磁気トンネル接合素子の磁気抵抗比を決定する要因となる。しかしながら、FePd(001)/グラフェン界面のように格子の対称性が大きく異なる合金表面において、炭素原子がどのような配置をもつかまだ明らかになっていない。本課題では、第一原理計算を駆使し、エネルギー的に安定と考えられる界面構造の予測とその電子・磁気状態の解析を行った。とくに安定な構造として、ツイスト界面モデルが-0.19~-0.22eV/atom の吸着エネルギーを持つことを明らかにした。また、吸着層間距離はSTEM 測定による実験結果ともよく一致していた。さらに、グラフェン層にはモアレ状のバックリングが現れることを確認した。 また、領域内共同研究として、h-BN上のVO2原子構造解析にも着手した。2次元層状材料表面上では弱いvan der Waals結合しか働かないため、原子配列が揃ったVO2を成長させることができることをA02田中班が提唱している。本課題では、VO2の成長様式を明らかにするため、A02田中班と議論のもと、第一原理計算によりh-BN/VO2界面の原子構造解析を行った。その結果、V原子はh-BNのN原子に弱い化学結合でピンされ、超格子的に原子配列をh-BNに合わせながら成長することが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
FePd/グラフェン界面の電子状態計算は、計算による電子状態解析が順調に進み実験研究とも良い一致を得ており、学術誌への投稿も完了している。h-BN上のVO2成長解析など計画していた領域内共同研究にも着手している。
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今後の研究の推進方策 |
FePd/グラフェン界面を用いた磁気抵抗素子の性能を評価するため、第一原理計算により伝導特性を解析する。h-BN上のVO2成長解析は、第一原理計算により明らかになった界面原子構造と実験結果を比較することにより、計算結果の妥当性を高め、結果を学術誌に投稿する。また、新たな領域内共同研究として、FeNi/h-BN界面の電子状態・スピン伝導特性解析にも着手する。
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