研究領域 | 2.5次元物質科学:社会変革に向けた物質科学のパラダイムシフト |
研究課題/領域番号 |
22H05468
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研究種目 |
学術変革領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
学術変革領域研究区分(Ⅱ)
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研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
蓬田 陽平 東京都立大学, 理学研究科, 助教 (90647158)
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研究期間 (年度) |
2022-06-16 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,760千円 (直接経費: 5,200千円、間接経費: 1,560千円)
2023年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2022年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
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キーワード | 無機ナノチューブ / 遷移金属ダイカルコゲナイドナノチューブ / ナノチューブ / 構造制御 / 対称性制御 / 2.5次元遷移金属ダイカルコゲナイドナノチューブ / 2.5次元遷移金属ダイカルコゲナイド / ヘテロナノチューブ / ヤヌスナノチューブ / 水素発生 / 水素発生触媒 / 光物性 / バルク光起電力効果 |
研究開始時の研究の概要 |
2次元層状化合物を円筒状にした遷移金属ダイカルコゲナイドナノチューブ(TMDC-NT)では、円筒構造・積層構造の自由度を活かした2次元物質にはないユニークな機能が期待される。本研究では、これまで開発してきたTMDC-NTの合成技術・積層技術を進化させることにより、円筒構造・積層構造が制御された2.5次元TMDC-NTを創製し、その触媒・デバイス応用や光物性開拓を展開する。本研究を通して、2.5次元TMDC-NTの生産基盤を構築し、TMDCの多機能材料としての可能性を見いだす。
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研究実績の概要 |
本研究は、これまで開発してきた遷移金属ダイカルコゲナイドナノチューブ(TMDC-NT)の合成技術・積層技術を進化させることにより、円筒構造・積層構造が制御された2.5次元TMDC-NTを創製し、その触媒・デバイス応用や光物性開拓を展開することを目的とする。2022年度は、その目標達成に向けて、①円筒構造を制御したTMDC-NTの合成技術の開発、②異なるTMDC-NTを積層させたヘテロNTおよび異なるカルコゲンを有するヤヌスNTの創製、③TMDC-NTの触媒応答および光物性の解明に取り組み、以下を実現した。 ①円筒構造を制御したTMDC-NTの合成技術の開発:気相合成により基板上に形成した酸化タングステンナノワイヤを硫化することによって、直径が10 nm程度に制御されたWS2-NTを得る合成技術の開発に成功した。 ②異なるTMDC-NTを積層させたヘテロNTおよび異なるカルコゲンを有するヤヌスNTの創製:①で得られた小径のWS2-NTを鋳型として、その外壁面にMoS2を同軸積層させることにより、MoS2/WS2ヘテロNTを創製した。本手法では、MoS2の結晶性の制御が可能であり、触媒性能の鍵となるパラメータに関する重要な知見を得た。さらに、水素プラズマで処理したWSe2-NTを硫化することにより、WSSeヤヌスNTの創製に挑戦し、ラマンスペクトルからヤヌスWSSeの形成を確認した。 ③TMDC-NTの触媒応答および光物性の解明:HOPG基板上に合成したWS2-NTを用いて電気化学セルを形成し、その水素発生触媒性能を測定した。空間分解が可能な走査電気化学顕微鏡を用いて、形状観察と電気化学測定を同時に行い、WS2-NTに由来する水素発生触媒応答を検出することに成功した。また、当初の計画には無かったが、小径のWS2-NTの光励起発光特性を測定し、小径のWS2-NTに由来する発光波長の変調を観察した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究では、円筒構造・積層構造が制御された2.5次元TMDC-NTを創製し、その触媒・デバイス応用や光物性開拓を展開することを目的としている。2022年度は、その目的達成に向けて、①円筒構造を制御したTMDC-NTの合成技術の開発、②異なるTMDC-NTを積層させたヘテロNTおよび異なるカルコゲンを有するヤヌスNTの創製、③TMDC-NTの触媒応答および光物性の解明に取り組み、当初の目標を十分に達成することができた。 ①に関しては、気相合成ナノワイヤを用いた合成法では、これまでの液相合成ナノワイヤを用いた合成法を超える試料直径の低減が可能であり、当初の計画以上の高品位かつ小径の試料が得られている。直径は、TMDCシートにかかる歪みに関係し、2.5次元TMDC-NTの物性の変調に寄与する重要なパラメータである。今後ユニークな物性の開拓が期待される。 ②に関しては、ヘテロNTの創製は計画通りの進展であるが、触媒性能に重要な結晶性の制御やヤヌスNTの創製は、計画段階の想定には無かった新たな発見である。 ③に関しては、TMDC-NTの触媒性能評価は計画通りに進展している。一方、小径WS2-NTにおいて観察された発光波長の変調は、①により小径かつ高品位なWS2-NTが得られたことで実現可能になったと考えており、当初の計画には無い進展である。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、ヤヌスNT合成法の検討により、高品位WSSeヤヌスNTの実現を目指すとともに、得られたヤヌスNTのミラー対称性の破れに由来する光物性の観察を目指す。また、ヘテロNTやヤヌスNTを用いて電気化学セルを作製し、その触媒性能を明らかにする。得られた光物性および触媒性能を通常のTMDC-NTと比較し、ヘテロ化・ヤヌス化で予想されるユニークな光物性や高い触媒性能を実証する。また並行して、バルク光起電力効果測定のためのナノチューブ一本のデバイス作製を進める。
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