研究領域 | 神経回路センサスに基づく適応機能の構築と遷移バイオメカニズム |
研究課題/領域番号 |
22H05487
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研究種目 |
学術変革領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
学術変革領域研究区分(Ⅲ)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
能瀬 聡直 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 教授 (30260037)
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研究期間 (年度) |
2022-06-16 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
9,880千円 (直接経費: 7,600千円、間接経費: 2,280千円)
2023年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2022年度: 4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
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キーワード | ショウジョウバエ / 運動回路 / 行動選択 / カルシウムイメージング / センサス |
研究開始時の研究の概要 |
本研究ではショウジョウバエ幼虫が状況に応じて前進と後退という逆方向の移動運動を切り替える系をモデルとして、適応的な脳機能を生む回路遷移機構を探る。これまでに、感覚入力を受け前進/後退運動を司令するWaveニューロンと、前進/後退の運動出力を担う神経回路を明らかにすることに成功している。本研究では両者の間に存在し、回路遷移において決定的な役割を果たすような候補細胞を、1)活動依存的に色変換する蛍光タンパク質CaMPARI2による標識・単離と単一細胞RNA-seqによる比較遺伝子プロファイリング、2)膨張試料顕微鏡法を用いたカルシウムイメージング試料における細胞同定、により同定することを目指す。
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研究実績の概要 |
外界との相互作用のなかで生存に適した行動を選択することは、脳神経系の最も重要な機能である。しかしながら、細胞集団の神経活動パターンがどのようにして展開し、特定の行動の生成に結びつくのか、その仕組みは未だ明らかになっていない。本研究では、コネクトミクス解析(連続電子顕微鏡画像三次元再構築)や高度な遺伝子操作が可能であり、中枢回路の構成と機能を単一細胞種のレベルで解剖可能なショウジョウバエ幼虫において、行動選択時に活動する細胞を系統的にプロファイリングすることで適応機能を生む回路遷移の仕組みを探る。このため、幼虫が状況に応じて前進と後退という逆方向の移動運動を切り替える系をモデルとしたセンサス研究を行う。特に、前進から後退、あるいは逆方向に細胞集団の活動パターンが遷移する過程において決定的な役割を果たすような神経細胞を同定することを目指す。本年度は活動依存的標識と遺伝子プロファイリングによる同定を目指し以下の研究を進めた。この計画では単離標本においてWaveの光活性化により前進、後退運動が起こる際に活動する細胞を、活動依存的に色変換する蛍光タンパク質CaMPARI2(Moeyaert et al. Nat. Comm., 2018)を用いて標識、単離し、単一細胞RNA-seq解析により各細胞の遺伝子プロファイルを得、さらに前進/後退間の比較解析により、それぞれの行動において選択的に活動する細胞を同定することを目指す。このためまず、前進、後退運動時に活動する細胞をCaMPARI2により効率よく標識するための条件設定を行い、それぞれにおいて活動する細胞を赤色蛍光で標識することに成功した。さらに領域の支援班の協力を得ながら、中枢神経系をプロテアーゼで解離しセルソーターにかけることで、単一細胞を単離するプロトコルを確立した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前進、後退運動時に活動する細胞をCaMPARI2により効率よく標識することに成功した。
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今後の研究の推進方策 |
CaMPARI2により標識した前進、後退運動時に活動する細胞をcell sorterにより単離し、単一細胞RNA seq解析を行う。
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