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神経細胞の個性センサスによるセルアセンブリの構築と遷移

公募研究

研究領域神経回路センサスに基づく適応機能の構築と遷移バイオメカニズム
研究課題/領域番号 22H05498
研究種目

学術変革領域研究(A)

配分区分補助金
審査区分 学術変革領域研究区分(Ⅲ)
研究機関大阪大学

研究代表者

八木 健  大阪大学, 大学院生命機能研究科, 教授 (10241241)

研究期間 (年度) 2022-06-16 – 2024-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
14,950千円 (直接経費: 11,500千円、間接経費: 3,450千円)
2023年度: 7,540千円 (直接経費: 5,800千円、間接経費: 1,740千円)
2022年度: 7,410千円 (直接経費: 5,700千円、間接経費: 1,710千円)
キーワードクラスター型プロトカドヘリン / シナプス形成 / 細胞系譜 / 神経回路 / 細胞の個性 / シングルセル解析 / シナプス / 遺伝子組み換えマウス / パッチクランプ / 神経細胞 / 局所回路 / セルアセンブリ
研究開始時の研究の概要

脳神経系では、神経細胞は個性的な活動を行いながら多様な神経細胞の集団的活動(セルアセンブリ)により、記憶や情報がコードされている。我々が発見したクラスター型プロトカドヘリン(cPcdh)遺伝子群は、単一神経細胞レベルで異なったランダムな組み合わせ発現をしており、シナプス形成に関わることが示唆されている。本研究では、細胞系譜依存的・回路依存的な神経細胞の個性センサスを単一神経細胞におけるcPcdh遺伝子の発現と機能を中心に解析することにより、セルアセンブリの構築と遷移に関わる分子メカニズムを明らかにする。

研究実績の概要

神経細胞は個性的な活動を行いながら多様な神経細胞の集団的活動(セルアセンブリ)により、記憶や情報がコードされていることが明らかになってきている。しかし、セルアセンブリの構築と適応的な遷移の分子メカニズムは未だ明らかにされていない。そこで本研究では、細胞系譜依存的・回路依存的な神経細胞の個性センサスを単一神経細胞におけるcPcdh遺伝子の発現と機能を中心に解析することにより、セルアセンブリの構築と遷移に関わる分子メカニズムを明らかにする。本年度は、以下の項目で研究成果を上げることができた。
1)キメラマウスの大脳皮質において、同一神経細胞系譜となる神経細胞をホールセルパッチクランプ法により細胞質を吸引してRamDA-seq法を用いてRNAシーケンスを行い、シングルセルレベルでのcPcdh遺伝子発現パターンとクローン性との関係について解析を行った。
2)cPcdh遺伝子発現を可視化したノックインマウスの作製に成功し、アイソフォーム特異的なランダム発現を確認した。その結果、β3-Tomatoノックインマウスにおいてβ3-Tomatoのランダム発現が比較的安定していることを明らかにすることができた。さらに、β19-Tomato及びβ3-GFPノックインマウスの作製に成功し、対立遺伝子における独立したランダム発現が明らかとなった。
3)58種類のcPcdhアイソフォームの内、マウス生存にはこれまでに知られているcPcdhgC3, gC4, gC5だけでなく、他の53種類のcPcdhアイソフォームもマウス生存に必須であることを明らかにし論文として発表した。
4)FRETによりcPcdhアイソフォーム接着活性を可視化するFRET-cPcdhプローブの開発に成功し、このFRET-cPcdhプローブがマウス生体内で機能的であることを明らかにした。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

1)iPS細胞キメラマウスを用いて同一細胞系譜におけるcPcdh遺伝子発現の関係を、単一細胞遺伝子発現解析RamDA-seq法を用いて解析できた。その結果、細胞系譜依存的に発現パターンの一致を明らかにした。
2)cPcdh遺伝子発現を可視化したノックインマウス系統の作製に成功している。β3-Tomatoノックインマウスにおいてβ3-Tomatoのランダム発現が比較的安定していることを明らかにすることができた。さらに、β19-Tomato及びβ3-GFPノックインマウスの作製に成功し、対立遺伝子において独立したランダム発現が明らかとなった。
3)短期記憶の異常が認められているPcdhαの多様性減少マウスの新規環境下における神経活動をc-fos発現パターンにより解析した。
4)cPcdhホモフィリック結合をFRETを用いて可視化するFRET-cPcdhプローブの開発に成功した。さらに、トランスジェニックマウス作製により、このFRET-cPcdhプローブがマウス生体内で機能的であることを明らかにできた。
5)58種類のcPcdhアイソフォームの内、cPcdhgC3, gC4, gC5だけでなく、他の53種類のcPcdhアイソフォームもマウス生存に必須であることを明らかにして論文として発表することができた。

今後の研究の推進方策

今後は、これまでの研究成果を踏まえ以下の研究を推進する。
1)cPcdh遺伝子発現を可視化したノックインマウスを用いて、発現変化や特異的回路形成へのアプローチを行う。また、ノックインマウスを用いて記憶をコードしているセルアセンブリをin vivi Caイメージング法により捉え、cPcdhアイソフォーム発現細胞とセルアセンブリとの関係を解析する。
2)短期記憶の異常が認められているPcdhαの多様性減少マウスの新規環境下における神経活動を解析し、前頭前野領域での発現パターンの異常を明らかにすることができた。今後は、この神経活動の異常と短期記憶の異常との関係を明らかにする。
3)cPcdhホモフィリック結合をFRETを用いて可視化するマウスを作製し、cPcdhホモフィリック相互作用の役割を、シナプス形成、自己忌避活性において明らかにする。
4)cPcdh特異的発現するアデノ随伴ウイルスを作製し、海馬及び大脳皮質における神経細胞に特異的に発現させ、cPcdhアイソフォーム発現と回路形成、セルアセンブリ形成への役割を明らかにする。

報告書

(1件)
  • 2022 実績報告書
  • 研究成果

    (13件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 1件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (9件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Isoform requirement of clustered protocadherin for preventing neuronal apoptosis and neonatal lethality2023

    • 著者名/発表者名
      Kobayashi Hiroaki、Takemoto Kenji、Sanbo Makoto、Hirabayashi Masumi、Hirabayashi Takahiro、Hirayama Teruyoshi、Kiyonari Hiroshi、Abe Takaya、Yagi Takeshi
    • 雑誌名

      iScience

      巻: 26 号: 1 ページ: 105766-105766

    • DOI

      10.1016/j.isci.2022.105766

    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Double mutation of claudin-1 and claudin-3 causes alopecia in infant mice2023

    • 著者名/発表者名
      Suzuki Koya、Yamaga Kosuke、Tokumasu Reitaro、Katsuno Tatsuya、Tanaka Hiroo、Chiba Shuhei、Yagi Takeshi、Katayama Ichiro、Tamura Atsushi、Murota Hiroyuki、Tsukita Sachiko
    • 雑誌名

      Annals of the New York Academy of Sciences

      巻: 1523 号: 1 ページ: 51

    • DOI

      10.1111/nyas.14980

    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Early embryonic mutations reveal dynamics of somatic and germ cell lineages in mice2022

    • 著者名/発表者名
      Arikuni Uchimura, Hirotaka Matsumoto, Yasunari Satoh, Yohei Minakuchi, Sayaka Wakayama, Teruhiko Wakayama, Mayumi Higuchi, Atsushi Toyoda, Yoichi Gondo, et al.
    • 雑誌名

      Genome Research

      巻: 32 ページ: 945-955

    • DOI

      10.1101/gr.276363.121

    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] CTCF loss induces giant lamellar bodies in Purkinje cell dendrites.2022

    • 著者名/発表者名
      Teruyoshi Hirayama, Yuuki Kadooka, Etsuko Tarusawa, Sei Saitoh, Hisako Nakayama, Natsumi Hoshino, Soichiro Nakama, Takahiro Fukuishi, Yudai Kawanishi, Hiroki Umeshima, Koichi Tomita, Yumiko Yoshimura, Niels Galjart, Kouichi Hashimoto, Nobuhiko Ohno, Takeshi Yagi
    • 雑誌名

      Acta Neuropathol Commun.

      巻: Nov 29;10(1):172 号: 1 ページ: 172-172

    • DOI

      10.1186/s40478-022-01478-6

    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [学会発表] 神経細胞識別コードの可視化:クラスター型プロトカドヘリンの発現解析2022

    • 著者名/発表者名
      金子 涼輔、阿部 学、井上(上野) 由紀子、高鶴裕介、渡辺雅彦、崎村建司、柳川右千夫、八木 健
    • 学会等名
      NEURO2022/ 第45回日本神経科学大会
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
  • [学会発表] Developmental integration of clonally-related cortical neural assemblies2022

    • 著者名/発表者名
      足澤 悦子、河村菜々実、増田風子、長谷川沙紀、三宝誠、渡辺雅彦、林哲太郎、梅田茉奈、芳村美佳、深澤有吾、平林真澄、二階堂愛、 吉村由美子、八木 健
    • 学会等名
      NEURO2022/ 第45回日本神経科学大会
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] パルブアルブミン陽性神経細胞におけるクラスター型プロトカドヘリンγの欠損が大脳皮質神経回路形成に与える影響2022

    • 著者名/発表者名
      河村 菜々美、足澤悦子、吉村由美子、八木 健
    • 学会等名
      NEURO2022/ 第45回日本神経科学大会
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
  • [学会発表] クラスター型プロトカドヘリンの相互作用可視化2022

    • 著者名/発表者名
      星野 七海、京卓志、足澤悦子、金子涼輔、井上(上野)由紀子、井上高良、松田知己、永井健治、八木 健
    • 学会等名
      NEURO2022/ 第45回日本神経科学大会
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
  • [学会発表] 58種類のクラスター型プロトカドヘリン(cPcdh)のうち,PcdhγC4はマウスの生存に唯一必須である2022

    • 著者名/発表者名
      樋口 流音、梅澤 遥香、萩 暸、 渡辺 雅彦、 三宝 誠、平林 真澄、八木 健
    • 学会等名
      NEURO2022/ 第45回日本神経科学大会
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
  • [学会発表] 脳幹網様体巨大神経細胞におけるグルタミン酸, GABA性神経伝達物質ダブルポジティブ細胞の特性解析2022

    • 著者名/発表者名
      大須賀 智輝、和氣 弘明、洲崎 悦生、松本 桂彦、八木 健
    • 学会等名
      NEURO2022/ 第45回日本神経科学大会
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
  • [学会発表] PcdhγC4のホモフィリック接着活性を失った γC4ΔEC2マウスの解析2022

    • 著者名/発表者名
      梅澤 遥香、樋口 流音、渡辺 雅彦、三宝 誠、 平林 真澄、八木 健
    • 学会等名
      NEURO2022/ 第45回日本神経科学大会
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
  • [学会発表] Visualization of homophilic interaction of clustered protocadherin in cultured hippocampal neurons2022

    • 著者名/発表者名
      高杉 朋実、星野七海、足澤悦子、八木 健
    • 学会等名
      NEURO2022/ 第45回日本神経科学大会
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
  • [学会発表] クラスター型プロトカドヘリンαの発現多様性の欠如がワーキングメモリーに障害をもたらす2022

    • 著者名/発表者名
      山本 裕希、大須賀智輝、八木 健
    • 学会等名
      NEURO2022/ 第45回日本神経科学大会
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書

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公開日: 2022-06-20   更新日: 2023-12-25  

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