公募研究
学術変革領域研究(A)
超硫黄分子は生命体に有益な効果をもたらすと同時に有害な影響も与える。動物発生の各過程においても重要な機能を果たしていると予想されるが、ほとんど研究がなされていない。本研究の目的は、動物発生における超硫黄分子の機能ともに、その時空間特異的な量的変化を解明することである。戦略にはゼブラフィッシュを活用する。研究代表者はゼブラフィッシュを用いた発生学研究と抗酸化研究に長年従事し、また近年、超硫黄分子の研究も開始しており、本研究遂行の準備は整っている。本研究は、動物発生を超硫黄分子という新しい切り口で理解する点とゼブラフィッシュを超硫黄分子研究に活用する点で、「硫黄生物学」研究領域の推進に貢献する。
超硫黄分子は生命体に有益な効果をもたらすと同時に有害な影響も与える。動物発生の各過程においても重要な機能を果たしていると予想されるが、これまでほとんど研究がなされていない。本研究では、動物発生における超硫黄分子の機能を明らかにするとともに、その時空間特異的な量的変化を解明することを目的とした。戦略には、発生が早く、薬剤処理・ライブイメージング・遺伝学的解析が簡便・迅速にできるゼブラフィッシュを活用することにした。具体的には、1)ゼブラフィッシュ胚・稚魚における超硫黄分子量を増減させ、その影響を観察すること、2)ゼブラフィッシュ胚・稚魚の透明性を活かして、発生に応じて変化する各組織における時空間特異的な超硫黄分子量を測定すること、を2年間で行う計画とした。本年度は、初年度に系統化した超硫黄分子産生酵素cars2, cbsb, cthの遺伝子破壊系統とcbsbの発現上昇が観察されるkeap1a;keap1b二重破壊系統の表現型解析を行った。その結果、いずれのホモ成魚も致死となることがわかり、生体における硫黄代謝の重要性が示唆された。興味深いのは、超硫黄分子が増えていると予想されるkeap1a;keap1b破壊系統がもっとも早期の稚魚期に致死となることであった。加えて、野生型ゼブラフィッシュ胚の総ポリスルフィド量を質量分析で測定したところ、発生初期には超硫黄分子量を高く保ち、発生に伴い、減らす制御があることが示唆された。さらに、硫化ナトリウムをゼブラフィッシュ胚や稚魚に処理すると発生毒性を示した。これらを考え合わせると、超硫黄分子はむしろ発生を抑制作用があり、発生進行には超硫黄分子を含む還元型硫黄代謝物の減少が必要であるとの仮説が成り立った。
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (11件) (うち国際共著 6件、 査読あり 11件、 オープンアクセス 8件) 学会発表 (24件) (うち国際学会 5件、 招待講演 1件) 備考 (2件)
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