研究領域 | 新興硫黄生物学が拓く生命原理変革 |
研究課題/領域番号 |
22H05572
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研究種目 |
学術変革領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
学術変革領域研究区分(Ⅲ)
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
山田 健一 九州大学, 薬学研究院, 教授 (60346806)
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研究期間 (年度) |
2022-06-16 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2022年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 硫黄 / 酸化脂質 / 蛋白質 / タンパク質 |
研究開始時の研究の概要 |
求電子性分子である「酸化脂質」は、近年、炎症や細胞死の原因に密接に関与していることが報告されている。しなしながら、酸化脂質と蛋白質機能との関係は、ほとんど理解できていない。そこで本研究では、「システイン含有蛋白質と反応する酸化脂質の網羅的解析・評価」を目的とする。本研究から、求電子性分子「酸化脂質」と蛋白質中システインとの反応性に関する情報を提供できる。
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研究実績の概要 |
蛋白質の機能は、酵素及び非酵素的触媒作用による翻訳後修飾により多様性が生じる。代表的な非酵素的触媒作用として、蛋白質中システイン残基に対する酸化的あるいは求電子的修飾がある。しかしながら、本修飾を適切に解明する解析手法が欠如しているために、未だその理解は進んでいない。ここで、生体内で生じる求電子性修飾分子の多くは、多価不飽和脂肪酸由来脂質過酸化物などの「酸化脂質」である。これまで、酸化脂質を利用した蛋白質修飾の研究の多くは、試薬として市販され、かつ検出手法が確立している4-ヒドロキシノネナール(HNE)などに限られていた。しかし、実際の酸化脂質生成の連鎖反応機構を考えると、生成する酸化脂質の種類は非常に多いことが容易に想像できる。 そこで、本研究では、「システイン含有蛋白質と反応する酸化脂質の網羅的解析・評価」を目的とし、1)求電子性分子検出蛍光プローブの合成、2)酸化脂質由来求電子性分子の検出・解析及びリスト化、3)リスト化した酸化脂質と反応するシステイン含有蛋白質の特定、の3点を検討項目とした。 その中で本年度は、1)及び2)を中心に実施した。まず、「1)求電子性分子検出蛍光プローブの合成」として、蛍光団とSH基を結合させた新たな蛍光プローブを合成した。次に、このプローブを用いて、「2)酸化脂質由来求電子性分子の検出・解析及びリスト化」として、実際に、プローブに結合した複数の酸化脂質を検出し、リスト化に成功した。この際、PAPC(1-palmitoyl-2-arachidonoyl-sn-phosphatidylcholine)のみならず、PLPC(リノール酸含有)や、PDPC(ドコサヘキサエン酸含有)などでも解析を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度計画した項目については、すべて順調に進展した。また、予定以上の酸化脂質とプローブとの複合体の検出に成功している。
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今後の研究の推進方策 |
今後の方針としては、昨年度に引き続き、酸化脂質とSHプローブとの反応性を評価し、結合しうる反応産物のリスト化を完成させる。次に、これら酸化脂質と反応するシステイン含有蛋白質の特定を行う。
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