研究領域 | 新興硫黄生物学が拓く生命原理変革 |
研究課題/領域番号 |
22H05574
|
研究種目 |
学術変革領域研究(A)
|
配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
学術変革領域研究区分(Ⅲ)
|
研究機関 | 学習院大学 |
研究代表者 |
椎葉 一心 学習院大学, 理学部, 助教 (30884481)
|
研究期間 (年度) |
2022-06-16 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2022年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
|
キーワード | ミトコンドリア / オルガネラコンタクト / ROS / レドックス / 超硫黄 / オルガネラ / オルガネラ間接触 / 活性酸素種(ROS) / MAM / オルガネラ膜接触 / 硫黄生物学 |
研究開始時の研究の概要 |
近年のオルガネラバイオロジーの発展はめざましく、各々独立した小器官ではなく、2つないしは3つのオルガネラ同士が接触し、カルシウムや脂質などの物質輸送を介して互いにコミュニケーションをとることが明らかにされた。特にミトコンドリアと小胞体のコンタクト領域はMAMと称され、ミトコンドリア分裂部位の決定に関与すること、オートファゴソームの隔離膜形成に関与すること、さらに自然免疫応答のシグナルの足場として機能することなど多彩な役割が明らかにされている。本研究では「オルガネラコンタクト」の観点から超硫黄分子の量的制御機構の探索を行う。
|
研究実績の概要 |
本研究では超硫黄とオルガネラコンタクトの関連をツール開発を軸に見出すことを目的としている。 オルガネラコンタクトの中でも特に小胞体-ミトコンドリア間のコンタクトの解析は進んでおり、コンタクトがカルシウムや脂質の輸送を媒介することでミトコンドリアの恒常性、ひいては細胞内の恒常性を維持していることが明らかにされている。 超硫黄関連分子とオルガネラコンタクトとの関係を明らかにするため、小胞体とミトコンドリア間の接触を定量できるツールを開発し解析を行った。既知のオルガネラコンタクト定量ツールの問題点を克服すべく、簡便で可逆的かつ生細胞で解析できるツールを開発した。これらのツールを用いて解析を行ったところ、ミトコンドリアが産生する活性酸素種(ROS)がミトコンドリア-小胞体間のコンタクトを誘導していることが明らかとなった。また、ミトコンドリア由来のROSの除去に超硫黄関連酵素およびグルタチオン(GSH)が密接に関係していることが示唆された。さらに、ミトコンドリア由来のROSによって誘導されるオルガネラコンタクトを破壊すると細胞死が強く引き起こされたことから、オルガネラコンタクトがROSによる細胞毒性を緩和していることが示唆された。オルガネラコンタクトを誘導する細胞内シグナルは未だかつて報告されておらず、さらにオルガネラコンタクトの未知の機能に超硫黄関連分子が関与することが本研究から明らかとなった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の第一目標は、オルガネラコンタクトの可視化・定量・誘導ツール開発とその応用であった。今回、オルガネラコンタクトの定量ツールの開発に成功し、さらに超硫黄関連分子とオルガネラコンタクトの密接な関係を見出せたため、おおむね順調に研究が進んでいると考える。
|
今後の研究の推進方策 |
開発したオルガネラコンタクト定量ツールを用いて、本研究で見出した超硫黄関連因子とは別の因子とオルガネラコンタクトとの関係を解析し、新たな超硫黄関連制御・分子機構の解明を目指す。超硫黄合成促進剤をはじめとする、超硫黄に関連するさまざまな化合物が作出されているため、化合物を用いて超硫黄-オルガネラコンタクトとの関係をより詳細に解析する。オルガネラコンタクト可視化・誘導ツールについても引き続き開発を進める。
|