研究領域 | 新興硫黄生物学が拓く生命原理変革 |
研究課題/領域番号 |
22H05575
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研究種目 |
学術変革領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
学術変革領域研究区分(Ⅲ)
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
幸村 知子 北里大学, 薬学部, 助教 (30337985)
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研究期間 (年度) |
2022-06-16 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2022年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | リポキシトーシス / フェロトーシス / GPx4 / 超硫黄分子 / 男性不妊症 |
研究開始時の研究の概要 |
グルタチオンペルオキシダーゼ4(GPx4)は、硫黄分子グルタチオン(GSH)を還元物質としてリン脂質ヒドロペルオキシドを還元する酵素である。酵素反応としては超硫黄分子グルタチオンパースルフィド(GSSH)を用いてGSSSGを合成することが可能である。また、細胞内のGSHの酸化還元状態を変え、超硫黄分子の酸化還元状態を変えることができる超硫黄分子代謝制御因子としての機能する可能性をもつ。本研究ではこの仮説を明らかにし、疾患との関与を見出すことを目的に、我々が開発したタモキシフェン誘導型でGPx4を欠損できる細胞、オルガネラ選択的GPx4欠損マウスを用いて、特に男性不妊症との関連を明らかにしたい。
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研究実績の概要 |
超硫黄分子の代謝あるいは制御分子としてのGPx4の新たな機能を細胞レベル、個体レベルで明らかにすることを目的に研究を行っている。2022年度は主に細胞を用い、細胞内で超硫黄分子の誘導をかけられるNAC-S2を添加し、脂質酸化依存的な細胞死制御にどのように関与しているかについて解析を行った。 GPx4は生体膜に生じたリン脂質ヒドロペルオキシドを直接還元する抗酸化酵素である。GPx4阻害剤であるRSL3や細胞内グルタチオン濃度を低下させるエラスチンは、12時間以内に二価鉄依存的なフェントン反応を介した脂質酸化依存的な細胞死(フェロトーシス)を誘導する。一方、当研究室で作製したタモキシフェン(Tam)誘導型GPx4欠損細胞は、Tam添加により、二価鉄の遊離は介さず、12-24時間で酸化脂質の蓄積が起こり、脂質酸化の下流でリポキシトーシス実行因子Lipo遺伝子を介した、72時間というゆっくりとした細胞死(リポキシトーシス)を誘導することを見出している。この細胞死は、鉄のキレート剤では抑制できず、フェロトーシスとは異なる細胞死メカニズムであると考えている。また化合物でリポキシトーシスを誘導できるものとして、2D3を見出した。 まず、フェロトーシスにおけるNAC-S2の影響を調べたところ、NAC-S2はRSL3によるフェロトーシスおよび酸化脂質の蓄積を抑制した。次にリポキシトーシスに対するNAC-S2の影響について検討したところ、2D3の添加により誘導されるリポキシトーシスに対し、NAC-S2の添加のタイミングによって、リポキシトーシスを抑制でき、酸化脂質の蓄積も抑制できることが明らかとなった。 NAC-S2は、フェロトーシスを抑制できること、2D3によるリポキシトーシスも抑制できることを見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度は、NAC-S2により生成される超硫黄分子が脂質酸化依存的な細胞死制御にどのように関与しているかについて、細胞を用いた詳細な解析を行った。NAC-S2の細胞内有効濃度を見つけ、RSL3によるフェロトーシス、および2D3によるリポキシトーシスに対して、酸化脂質の蓄積を抑制し、細胞死も抑制できることを明らかにした。 2023年度のin vivo解析で用いる予定の精巣特異的非ミトコンドリア型GPx4欠損マウス、ミトコンドリア型GPx4欠損マウスの準備も整っており、概ね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
細胞を用いた解析では、Tam添加によるGPx4欠損によるリポキシトーシスに対するNAC-S2の影響を調べること、またNAC-S2がリポキシトーシスにおける脂質酸化の実行因子Lipo-1に直接作用して抑制効果を示すのか、ラジカル捕捉による抑制なのか等、どこに作用して効果を示しているのか、in vitroの活性測定系も用いながら明らかにする。 また、2023年度はin vivoでの超硫黄分子の影響も調べる予定であり、男性不妊症モデルマウスを用いた、超硫黄分子における不妊改善効果についても検討する。
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