研究領域 | 新興硫黄生物学が拓く生命原理変革 |
研究課題/領域番号 |
22H05576
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研究種目 |
学術変革領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
学術変革領域研究区分(Ⅲ)
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
秋山 雅博 慶應義塾大学, 薬学部(芝共立), 特任講師 (60754570)
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研究期間 (年度) |
2022-06-16 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 超硫黄分子 / 腸内細菌 |
研究開始時の研究の概要 |
腸内細菌が産生する多様な代謝物は、腸管を越えて宿主臓器機能に様々な影響を与えていることが知られる。一方で、腸管は硫黄代謝の主要な場であるが、腸内細菌が産生する硫黄代謝物に対する検討は殆どなされていない。そこで、本研究では硫黄代謝物として超硫黄分子に着目し、腸内細菌における超硫黄分子の産生酵素の同定および腸内細菌による超硫黄分子の産生機構の解明を目指す。本研究成果は、宿主-腸内細菌間の相互作用研究における新たな分子基盤の解明と超硫黄分子に対する新たな研究アプローチの提供に繋がる。
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研究実績の概要 |
本年度は、まず最初に高超硫黄分子産生能を有する腸内細菌を数種類選定し、そのゲノム解析を行い産生酵素の同定を試みた。高超硫黄分子産生菌としてRuminococcaceae科やLachinospiraceae科に属するA. colihominis、C. bolteae、D. longicatenaを選定した。次に上記3種類の腸内細菌のゲノムをターゲットに解析を行った。各腸内細菌のゲノム情報を得るために、嫌気培養により増殖させたA. colihominis、C. bolteae、D. longicatenaの菌体からDNAを抽出し、Illumina NovaSeq 6000を用いてWhole Genome Sequencingを実施した。 また、上記の腸内細菌は超硫黄分子を産生する酵素反応には、ピリドキサールリン酸(PLP)の結合が必要であることが、PLP依存的な酵素反応を阻害するアミノオキシヘミ酢酸塩(AOAA)添加実験により確認されているため、PLP結合サイトを持つ可能性のある遺伝子群をターゲットにして、超硫黄分子産生酵素遺伝子の絞り込みを実施した。DFAST, KEGG (GhostKOALA) に基づく遺伝子アノテーションを行った結果、3株とも宿主の超硫黄分子産生酵素であるCSE,CBSとされる遺伝子は有していなかった。一方で、cystathionine beta-lyaseに分類された遺伝子を多く有していた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画通りに、超硫黄分子高産生菌のWhole Genome Sequencingを実施し、超硫黄分子産生酵素の候補遺伝子を同定した。一方で、同定できた候補遺伝子の数は多くはなかった。
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今後の研究の推進方策 |
今後は同定された候補遺伝子を大腸菌を用いたタンパク質発現系を用いて、候補タンパク質を精製し、超硫黄分子産生活性を評価する。また、低産生菌に対して超硫黄分子産性能が向上するような環境刺激を探索する。その後の環境刺激により超硫黄分子産生能が向上した腸内細菌において、増加したタンパク質やmRNAをプロテオーム解析とRNAseqを用い明らかにする。2022年度に明らかにした超硫黄分子高産生菌のゲノム 情報と合わせて、腸内細菌の超硫黄分子産生酵素遺伝子の同定を試みる。
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