研究領域 | 新興硫黄生物学が拓く生命原理変革 |
研究課題/領域番号 |
22H05577
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研究種目 |
学術変革領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
学術変革領域研究区分(Ⅲ)
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研究機関 | 昭和薬科大学 |
研究代表者 |
石井 功 昭和薬科大学, 薬学部, 教授 (90292953)
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研究期間 (年度) |
2022-06-16 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
7,020千円 (直接経費: 5,400千円、間接経費: 1,620千円)
2023年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2022年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
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キーワード | 硫黄転移酵素 / シアン解毒 / 超硫黄 / 遺伝子改変マウス / 遺伝病モデル / チオシアン酸イオン / 細胞呼吸 / 電子伝達系 / 硫黄転移反応 / 青酸配糖体 / 活性イオウ分子種 |
研究開始時の研究の概要 |
ロダネーゼTSTがシアン解毒に働くことは以前より広く知られていたが、個体レベルでも作用している証拠はこれまで無かった。また、in vitro実験でその相同酵素であるMPSTもシアン解毒活性を有することは報告されていた。そこで、以前に作成したMPST欠損マウス、そして今回新規作成したTST欠損マウス、またMPST/TSTダブル欠損マウスを比較解析に用いて、シアン解毒や硫黄転移反応における両酵素の役割を明らかにする。
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研究実績の概要 |
ミトコンドリア電子伝達系を阻害し細胞呼吸を止める猛毒であるシアン化物イオン(CN-)に硫黄原子Sを転移してチオシアン酸イオン(SCN-)に解毒・弱毒化する酵素として,我々哺乳類がロダネーゼ(TST)を有することは公知の事実だが、青酸配糖体を多量に含むユーカリ葉のみを食するコアラとは違い,我々がCN-を多く含む食餌を日常的に摂る,あるいはCN-に環境被爆する機会はほぼない。つまりTSTの役割はおそらく異なり,そして未だ不明である。TSTの相同酵素でゲノム近傍に位置する MPSTも,in vitro実験ではThiosulfateを基質とするTST活性を有するが,その生理的意義も不明である。本研究では,一昨年に作成発表したMPST欠損マウス,また新規作成したTST欠損マウス及びTST/MPSTダブル欠損マウスを比較解析し,それら生体内シアン解毒・硫黄転移酵素の存在意義と役割を明らかにすることを目的としている。本年度は、これら3種の遺伝子欠損マウスと野生型マウス②体して高濃度シアンイオンを負荷(NaCN投与)し、血中あるいは尿中のCN-及びSCN-の濃度を測定し、症状を観察した。その結果、MPST欠損マウスあるいは対象野生型マウスは投与CN-をSCN-に体内で変換して尿中排泄するが、TST欠損マウス及びTST/MPSTダブル欠損マウスはそれができずに血中に高濃度のCN-を蓄積し、投与後長時間無動状態となるなどど高い脆弱性を示していた。したがって、これら2酵素のうちTSTは高濃度シアン被爆時にその解毒に大きな役割を果たすことが判明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の目的であるMPST欠損マウスあるいはTST欠損マウスのシアン負荷時の脆弱性の違いを明確に確認することができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、高濃度シアン負荷時ではない定常状態での遺伝子欠損マウスの異常を調べる。これまでの解析では、MPST欠損マウスでの尿中へのメルカプト乳酸の高濃度排泄、そしてTST欠損マウスの血中シアン濃度の上昇などを確認している。したがって、定常状態でもある程度の異常があることがあきらかになっていることから、各種病態モデルでの両酵素の働きなどを調べていく。
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