研究領域 | 非ドメイン型バイオポリマーの生物学:生物の柔軟な機能獲得戦略 |
研究課題/領域番号 |
22H05596
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研究種目 |
学術変革領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
学術変革領域研究区分(Ⅲ)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
片平 正人 京都大学, エネルギー理工学研究所, 教授 (70211844)
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研究期間 (年度) |
2022-06-16 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
9,360千円 (直接経費: 7,200千円、間接経費: 2,160千円)
2023年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2022年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
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キーワード | 非コードRNA / メチル化 / 天然変性蛋白質 / 凝集 / アデニンメチル化 / FUS / 相互作用 / ノンコーディングRNA |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、FUSと結合して生理的な機能を発揮するlncRNAについて、m6A化によってFUSへの結合能が高まる事及びFUSの凝集が阻害される事に関する分子機構を解明する。メチル化によってlncRNAの機能が制御されるというのは新しい考え方で、パラダイムシフトと言える。本lncRNAに関する細胞学的な知見は最近得られたものである為、その分子機構の解明は全く手つかずで、分子機構に迫る本研究には学術的な独自性がある。
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研究実績の概要 |
天然変性タンパク質であるFUS (fused in sarcoma)は、癌や筋委縮性側索硬化症(ALS)等に関連する。また環境に依存して、液液相分離を生じたり凝集体を形成する。FUSと結合して生理的な機能を発揮する長鎖ノンコーディングRNA(lncRNA)が見出された。このlncRNAの断片であるFragment 6 (Fr6)は、断片中のアデニン塩基の6位がメチル(m6A)化されるとFUSへの結合能が高まり、FUSの凝集を阻害する事が報告された。この凝集阻害効果は、細胞のストレス耐性とバイアビリティの向上をもたらした。 Fr6に関し、m6A化された際とそうでない際の2次構造の予測を行った。また、Fr6及びm6A化されたFr6のNMRスペクトル測定し、塩基対の形成の状況に関する知見を得た。さらにFr6及びm6A化されたFr6に関して、UVスペクトルを用いた熱融解実験を行い、熱安定性を解析した。これらの項目に関して、m6A化の有無で大きな違いは見られなかった。m6A化は、FUSとの相互作用において違いを生じるものと推定される。 Fr6の構造とダイナミクス及びFUSとの相互作用を生細胞内でインセルNMR法で解析するには、目的のRNAを安価に13C,15N標識する技術を確立する事が必要となる。大腸菌の大量発現系を利用して、目的のRNA配列の両端にハンマーヘッド型リボザイムの配列を付加し、これをtRNAのクローバーリーフ構造に組み込んだものが大腸菌内に蓄積するシステムを構築した。大腸菌を13C,15N標識した最小培地で培養し、得られたRNAを精製し、ここにマグネシウムイオンを加えてハンマーヘッド型リボザイムによる切断を活性化する事で、13C,15N標識した目的のRNAを取得する事に成功した。本手法は、本研究のみならず、他の研究でも活用できる方法論である。また、インセルNMR法によって核酸塩基のダイナミクスを解析する方法論を確立する事にも成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
m6A化の有無が、Fr6の構造と熱安定性に及ぼす影響を2次構造予測ソフト、NMRスペクトル及びUVスペクトルを用いた熱融解実験によって検証する事ができた。 Fr6の構造とダイナミクス及びFUSとの相互作用を生細胞内でインセルNMR法で解析するには、目的のRNAを安価に13C,15N標識する技術を確立する事が必要となる。今回、大腸菌の大量発現系とリボザイムによる切断反応を組み合わせる事で、この技術を確立する事に成功した。また、核酸塩基のダイナミクスをインセルNMR法によって解析する方法論の確立にも成功した。
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今後の研究の推進方策 |
m6A化の有無が、Fr6単独の構造と熱安定性に及ぼす効果の解析は終了したので、m6A化の有無がFUSとの相互作用に及ぼす効果を今後は解析する。 目的のRNAを安価に13C,15N標識する技術を確立したので、これを生かしてインセルNMR法によるFr6の構造、ダイナミクス及びFUSとの相互作用の解析を行う。
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