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I型RNAポリメラーゼがつくる非ドメイン型バイオポリマーの探索と機能解析

公募研究

研究領域非ドメイン型バイオポリマーの生物学:生物の柔軟な機能獲得戦略
研究課題/領域番号 22H05606
研究種目

学術変革領域研究(A)

配分区分補助金
審査区分 学術変革領域研究区分(Ⅲ)
研究機関国立遺伝学研究所

研究代表者

井手 聖  国立遺伝学研究所, 遺伝メカニズム研究系, 助教 (50534567)

研究期間 (年度) 2022-06-16 – 2024-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
9,620千円 (直接経費: 7,400千円、間接経費: 2,220千円)
2023年度: 4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2022年度: 4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
キーワード核小体 / 液ー液相分離 / 相転移 / ノンコーディングRNA / 非コードRNA / RNAポリメラーゼI / コンデンセート
研究開始時の研究の概要

核小体は、非ドメイン型バイオポリマーが集約し液―液相分離によって形成される非膜オルガネラである。本研究ではヒートショックなどのストレス時における核小体のアミロイド様化に注目し、RNAポリメラーゼIにより合成される非ドメイン型ノンコーディングRNAが核小体の相転移を制御する仕組みを明らかにする。これを通して非ドメイン型バイオポリマーがどのように機能を獲得するのかを理解することに貢献する。

研究実績の概要

核小体は、非ドメイン型バイオポリマーが集約し液―液相分離によって形成される非膜オルガネラである。研究代表者は、細胞内一分子イメージング法によりリボソーム合成時にRNAポリメラーゼI(Pol I)が局在する核小体内層(FC)が大量のリボソームRNA(rRNA)のため、相分離を起こした液滴(ドロプレット)というよりむしろ、より粘性の高いゲル状になることを見出している。本研究ではヒートショックなどのストレス時における核小体のアミロイド様化に注目し、Pol Iにより合成される非ドメイン型ノンコーディングRNA(ncRNA)が核小体の相転移を制御する仕組みを明らかにすることを目的とした。令和4年度はストレス時にPol Iが本来の鋳型rRNA遺伝子以外のゲノム領域から合成するncRNAを網羅的に同定することを試みた。異なる方法でPol Iをノックダウンし、RNAシーケンス(RNA-seq)をした。その結果、予備実験により見出した有力な候補も含め再現性が高く減少するncRNAが見つからなかった。今後、リピート配列を含んだヒト完全ゲノムT2Tをリファレンスとして用いたRNA-seq解析を行っていく。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

これまでncRNAがPol I依存的に合成されるかどうかをタンパク質分解除去できるAID法によってPol Iをノックダウンした時その量が減少することを指標に評価し、候補となるncRNAを特定してきた。この結果を異なるアプローチで確認した。具体的にはPol Iの転写に必須なクロマチン因子UBFに依存的に新規合成されるncRNAを特定することにした。Pol Iと同様に、UBFをAID法によって迅速に分解できる細胞株を用いて、アミロイド様凝集体を誘発した時にUBFノックダウンとともにその発現が減少するncRNAを次世代シークエンサーで網羅的に同定することを試みた。ところが、Pol I依存的に合成されるncRNAの有力候補であると考えていたヒストン遺伝子クラスター領域のncRNAが検出できなかった。さらに予備実験に使用した株とは独立に作製したPol Iノックダウン細胞株においても確認したところ、ヒストン遺伝子クラスター領域由来のncRNAの低下は観察されなかった。そこでストレス応答時、Pol Iがヒストン遺伝子クラスター領域を転写しているかを明らかにするために、Pol IとHLBマーカータンパク質NPATの経時観察した。その結果、ストレス時に2つの輝点が近接したり、共局在する様子は見られなかった。このことから、有力候補であるヒストン領域由来のncRNAがPol Iで転写されたものでないと結論付けた。

今後の研究の推進方策

今後、Pol Iによって転写されるncRNAを同定するために、Pol Iをノックダウンした時のRNA-seqデータとUBFをノックダウンした時のRNA-seqデータで共通してその発現が減少しているものを調べていく。これまでRNA-seq解析の際にリファレンスとしてヒトゲノムhg38を使用してきたが、最近公表された完全ヒトゲノムT2Tを用いる。T2Tゲノムはこれまでのリファレンスで除外されていたテロメア、セントロメア、rRNA遺伝子の周りのリピート配列を含んでおり、これらリピート配列も対象にし調べていく。

報告書

(1件)
  • 2022 実績報告書
  • 研究成果

    (6件)

すべて 2022 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 2件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Chromatin behavior in living cells: lessons from single-nucleosome imaging and tracking.2022

    • 著者名/発表者名
      Ide, S., Tamura, S., Maeshima, K.
    • 雑誌名

      BioEssays

      巻: 44 号: 7 ページ: 2200043-2200043

    • DOI

      10.1002/bies.202200043

    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 物性から迫るクロマチンの実像―相分離するクロマチンは液体か?固体か?2022

    • 著者名/発表者名
      島添將誠 , 井手 聖 , 前島一博
    • 雑誌名

      実験医学増刊号 セントラルドグマの新常識

      巻: 40 ページ: 32-41

    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
  • [雑誌論文] 核内構造体と液-液相分離 ~核小体と転写コンデンセートを中心に~2022

    • 著者名/発表者名
      井手 聖 , 前島 一博
    • 雑誌名

      生化学 特集「今,解き明かされつつある液-液相分離による生体機能制御」椎名伸之、奥野浩行編

      巻: 94 ページ: 485-493

    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
  • [学会発表] Phase separation and transition of nucleolar condensate2022

    • 著者名/発表者名
      Satoru Ide
    • 学会等名
      金沢大学新学術創成研究機構ナノマテリアル研究所 異分野融合セミナー
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 核小体サブコンパートメントの相分離2022

    • 著者名/発表者名
      井手聖
    • 学会等名
      第45回分子生物学会年会 ワークショップ 『転移因子コードによる核内相分離構造の理解』
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
    • 招待講演
  • [備考] 生きた細胞でのクロマチンのふるまい:1分子ヌクレオソームイメージングから学ぶ

    • URL

      https://www.nig.ac.jp/nig/ja/2022/06/research-highlights_ja/rh20220605.html

    • 関連する報告書
      2022 実績報告書

URL: 

公開日: 2022-06-20   更新日: 2024-12-25  

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