研究領域 | 競合的コミュニケーションから迫る多細胞生命システムの自律性 |
研究課題/領域番号 |
22H05643
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研究種目 |
学術変革領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
学術変革領域研究区分(Ⅲ)
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研究機関 | 国立研究開発法人国立循環器病研究センター |
研究代表者 |
森 雅樹 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 研究所, 室長 (10602625)
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研究期間 (年度) |
2022-06-16 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
11,050千円 (直接経費: 8,500千円、間接経費: 2,550千円)
2023年度: 5,590千円 (直接経費: 4,300千円、間接経費: 1,290千円)
2022年度: 5,460千円 (直接経費: 4,200千円、間接経費: 1,260千円)
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キーワード | 細胞競合 / インプリンティング / 臓器サイズコントロール / 若年性リンクRNA / 細胞若年性 / インプリンティング異質性 / 脂質代謝 / 過成長症候群 |
研究開始時の研究の概要 |
生物を作る細胞は同じゲノムDNAをもつにも関わらず個々に異なった振る舞いを示す。そのような細胞ごとの多様性は環境の変動に適応するアドバンテージになるが、大きく逸脱するとガンなど疾患の原因にもなり得る。本研究では胎児期に刷り込まれた細胞ごとの多様性 (インプリンティング) がどのようなしくみで対処されるかを明らかにし、インプリンティングの異常によって発症する難病について分子レベルで解明する。本研究を完遂することにより、細胞の過度な多様性を細胞競合によって解消する新たな分子機構の理解につなげる。
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研究実績の概要 |
細胞競合の役割によって多細胞生物のもつ統合性が実現している可能性があるが、その原理はまだ明らかになっていない。本研究ではインプリンティング異常に伴う生体内でのエピゲノム多様性が細胞競合を引き起こす可能性を検証し、その分子実体を明らかにする目的に向けて取り組みを進めた。本年度はマウスモデルの確立を進め、さらに分子メカニズム解析のための基盤整備を進めた。その結果、インプリンティングの対象となる遺伝子の発現レベルの差異によって細胞間の競合が生じることが示唆された。候補分子の発現抑制は細胞の極性喪失を誘導し、Scribble型の細胞競合を引き起こす可能性が示唆された。また同遺伝子が代謝や細胞死に与える影響について検討を加え、遺伝子発現の異質性に伴って引き起こされる細胞間の競合状態について分子細胞解析を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
細胞競合の分子機構として新規のメカニズムを解明することを目的として、生体で生じる異質性を解消するメカニズムとして細胞競合が果たす役割について検証を進めた。その結果、細胞間の競合状態を惹起する新規の機構の一部を解明し、その起点となる因子としてインプリンティング遺伝子を同定した。今年度に確立したモデル系を活用し、詳細な分子機構を解明する素地が整っており、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
確立したモデル系に基づいて細胞競合の分子機構についてさらなる解明を進める。本研究ではインプリンティング異常に伴う組織の過形成や発がんを抑止する細胞競合の役割の検討を計画しており、培養細胞系や動物モデルを活用し、実体解明に取り組む。
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