研究領域 | デジタルバイオスフェア:地球環境を守るための統合生物圏科学 |
研究課題/領域番号 |
22H05717
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研究種目 |
学術変革領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
学術変革領域研究区分(Ⅳ)
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
永野 博彦 新潟大学, 自然科学系, 助教 (40758918)
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研究期間 (年度) |
2022-06-16 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2022年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 土壌有機物 / 微生物バイオマス / 風乾土 / 炭素循環 / 水抽出 / 同位体 |
研究開始時の研究の概要 |
統合生物圏科学が目指すデジタルバイオスフェア構築には、微生物による土壌有機物分解動態の解明が不可欠である。しかし、直接測定の困難な有機物分解を推定可能な簡易かつ汎用的土壌分析手法は確立されていない。現在、風乾土を水に浸し抽出できる水溶性有機物が微生物細胞に由来する可能性が見出されている。さらに風乾土の水溶性有機物に含まれる炭素・窒素の同位体存在比を測定することで、微生物が実際に分解した有機物の生成時期や分解特性を推定できる可能性がある。本研究では、風乾土から水抽出された水溶性有機物やその同位体存在比に着目し、各種陸域生態系における土壌有機物分解動態の推定に利用可能な土壌分析手法の確立を目指す。
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研究実績の概要 |
1年目となる2022年度は、前年までに国内の森林や牧草地などで採取した深さ50cm程度までの10土壌について、試料調整と分析を実施した。特に、土壌微生物バイオマスの標準測定法であるクロロホルム燻蒸-抽出法と風乾土壌の水溶性有機物水抽出法との比較を実施した。すでに分析が完了した有機炭素量データに基づくと、風乾土壌から水抽出された水溶性有機態炭素量はクロロホルム燻蒸-抽出法で測定された微生物バイオマス炭素量と強い正の相関を有することを示すデータが得られつつある。この結果は、風乾土壌の水溶性有機物水抽出法が生土を必要とするクロロホルム燻蒸-抽出法の良い代替法となる可能性が高いことを示唆している。今後、窒素の分析なども実施し、検証をさらに進める予定である。また、昭和期ごろに水田から転換された樹園地や炭素含量の乏しい砂丘海岸林などでも土壌採取を実施し、風乾土壌の水溶性有機物水抽出法の適応可能範囲の検討を進めているところである。中部地方の森林で採取され保管されていた風乾土壌に対しても、水溶性有機物の水抽出を実施し、炭素量および窒素量の分析を行った。その他、北関東の落葉広葉樹林で2013年に採取された風乾土壌から水抽出した水溶性有機物について、炭素・窒素量データに加え安定同位体比データも含む解析のとりまとめも実施し、論文化に取り組んでいる。風乾土壌の水溶性有機物水抽出法の可能性を検証し、各種陸域生態系における土壌有機物分解動態の推定に利用可能な土壌分析手法の確立に挑んでいる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り、土壌微生物バイオマス測定の標準法であるクロロホルム燻蒸-抽出法との比較検討などが順調に進んでいるため。
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今後の研究の推進方策 |
土壌微生物バイオマス測定代替法としての「風乾土壌の水溶性有機物水抽出法」の検討を進めるとともに、本法で得られた水溶性有機物の同位体比分析なども進め、土壌有機物分解動態の推定に利用可能な土壌分析手法の確立に挑む。
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