研究領域 | デジタルバイオスフェア:地球環境を守るための統合生物圏科学 |
研究課題/領域番号 |
22H05722
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研究種目 |
学術変革領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
学術変革領域研究区分(Ⅳ)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
西岡 正恵 (石原正恵) 京都大学, フィールド科学教育研究センター, 准教授 (90594367)
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研究期間 (年度) |
2022-06-16 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
2023年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2022年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 植物間コミュニケーション / BVOC / 植物ホルモン / 森林 / ブナ / VOCs / 病虫害 / 乾燥 / 高温 / 気候変動 / 操作実験 / 植物 / 匂い物質 / ストレス応答 |
研究開始時の研究の概要 |
地球温暖化により、樹木は高温、乾燥化、病虫害などの様々なストレスに直面している。耐性・抵抗性制御機構を担っているサリチル酸、アブシジン酸、ジャスモン酸の3つの植物ホルモンは、拮抗・相乗作用、つまりトリプルトークが存在しており、その結果、実際のストレス応答が制御されている可能性がある。本研究は、食害や傷害を受けた葉から匂いが放出され、被害を受けていない健全な他個体がその匂いを受容し反応する「匂いを介した植物間コミュニケーション」に着目し、匂い受容による植物のストレス応答トリプルトークの解明を目的とする。乾燥化と匂い受容実験により、植物ホルモンと遺伝子の発現という樹木の応答を明らかにする。
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研究実績の概要 |
樹木は高温、乾燥化、病虫害など様々なストレスに直面している。ストレス抵抗性制御機構を担っているサリチル酸、アブシジン酸、ジャスモン酸は、独立ではなく、拮抗・相乗作用、つまりトリプルトークが存在しており、その結果植物の実際のストレス応答が決まると考えられる。また、食害や傷害を受けた葉から匂いが放出され、被害を受けていない健全な他個体がその匂いを受容すると、防衛力が高まり、被害率が低くなるという「匂いを介した植物間コミュニケーション」が近年注目されている。つまり匂いを介してストレス応答が森林内に拡散していく可能性がある。 本研究は、実際の森林内における気候変動による植物応答の解明にむけて、匂い受容による植物のストレス応答トリプルトークを明らかにする。 遺伝子レベル・葉レベルで起きている、乾燥化と匂いの受容による複合的な応答機構を明らかにするため、ブナの稚樹を用い操作実験を行う。葉を切除し匂いを放出させ、乾燥化及び、匂いの受容・未受容での各ホルモン物質の時系列蓄積量を明らかにする。ホルモン抽出に使用した葉と同じ葉を用い、RNA-Seqによる遺伝子の発現変動を網羅的に解析する。RNA-Seqによる網羅的解析が行えるため、主目的であるジャスモン酸、サリチル酸、アブシジン酸以外のホルモンも定量できれば、匂い曝露後の植物の応答がより詳細に明らかにできる。 これまでジャスモン酸、サリチル酸は抽出経験があったが、アブシジン酸の定量を初めて行うにあたって、研究協力機関を探した。その結果、理化学研究所との共同研究できることになり、アブシジン酸やその他のホルモンも同時定量可能になった。操作実験に使用する実験区は京大北白川試験地に設置済みで、ブナにおけるホルモンの抽出も、ジャスモン酸、サリチル酸にて予備実験を行った。来年度4月より、操作実験を開始すべく、苗を購入し、育成した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
4月の開葉にむけての実験準備を進めた。共同研究者も見つかり、実験後の分析も問題なく実施できる予定である。
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今後の研究の推進方策 |
2023年4,5月に乾燥化・匂い曝露実験を実施する。ブナの苗木を用いて、乾燥処理×匂い無曝露、乾燥×葉切除個体からの匂い曝露、匂い曝露、対照の4処理を行い、葉を定期的にサンプリングし、サリチル酸、アブシジン酸、ジャスモン酸の時系列変化を把握する。さらに、ホルモン抽出に使用した葉と同じ葉を用い、RNA-Seqによる遺伝子の発現変動を網羅的に解析する。乾燥による匂い組成の時系列変化も、GC-MSを用い分析を行う。
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