研究領域 | デジタルバイオスフェア:地球環境を守るための統合生物圏科学 |
研究課題/領域番号 |
22H05724
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研究種目 |
学術変革領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
学術変革領域研究区分(Ⅳ)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
伊勢 武史 京都大学, フィールド科学教育研究センター, 准教授 (00518318)
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研究期間 (年度) |
2022-06-16 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
9,360千円 (直接経費: 7,200千円、間接経費: 2,160千円)
2023年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2022年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
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キーワード | リモートセンシング / 画像解析 / カーボンニュートラル / 森林生態系 |
研究開始時の研究の概要 |
リモートセンシングは生態圏機能の把握のために有用だが、観測精度やコストなど改善が望まれることも多い。本研究では、マルチ/ハイパースペクトルデータにAI解析を適用することで植生識別の精度を大幅に向上させる。従来は別々に発展してきたリモートセンシング研究とAI画像解析を融合し、これまで取得できていなかった情報を最大限抽出する。さらに、個葉レベルの空間分解能で可視光(RGB)情報を取得する低コストなUAV(ドローン)を用いて植生の3次元モデルを作成し、植生バイオマス推定や異常検知(枯死や病虫害の発見)などを実施する。
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研究実績の概要 |
本研究は、森林リモートセンシングデータをAIで解析する技法を確立することで従来の解析手法の弱点を克服し、植生タイプの識別精度を向上させることを目的としている。AI画像解析はターゲット周辺の多数のピクセル情報を明示的に解析に含めることが特徴だが、従来のリモートセンシングではこの考え方の活用が遅れていた。ピクセルを個別に解析するのでは、周囲との関係性という貴重な情報が失われ、またノイズの影響が大きくなってしまう。本研究では、近傍の多数のピクセルを合わせて対象物の形状やテクスチャを識別する。これにより、環境条件によって散乱が異なる場合でも対象物をロバストに識別することが可能になる。また、マルチスペクトルデータをAIで画像解析するための基礎技術の確立を目指す。従来の画像解析AIはRGBの3波長のみを扱うものが圧倒的なマジョリティだったが、本研究では、8波長またはそれ以上のスペクトルを持つデータの画像解析を可能とするシステムを構築する。
初年度にあたる本年度は、UAVを用いた森林観測を実施し、得られた画像データから、スギ・ヒノキ・アカマツなどの針葉樹を良好な精度で識別するAIの構築を行った。また、既存の航空写真の画像処理を行うことで、AIによる植生識別が可能であることを実証した。さらに、人工衛星観測で得られた8波長のマルチスペクトル画像を取り扱えるAI構築システムの実装を行った。これにより、GUI上でのマルチスペクトル画像のアノテーションが可能となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、学術変革領域「デジタルバイオスフェア 地球環境を守るための統合生物圏科学」のB分野「変化する生物圏機能の把握と最適化の検討」に属している。この領域と分野の目標達成のため、リモートセンシングによって、より多くの森林情報を得るための技術開発と実証を行うことが本研究の意義である。
初年度にあたる今年度は、予定どおりUAVのフライト・得られた画像データのオルソ合成・植生を解析するためのAIモデル構築・結果の可視化・パフォーマンス評価まで実施することができた。加えて、既存の航空写真を用いたAI植生判別を行った。また、マルチスペクトルデータを持つ人工衛星データからAIモデルを構築するためのシステムの整備ができた。以上はおおむね当初予定のとおりの進捗であるといえるが、マルチスペクトルデータを用いたAIの植生識別精度は次年度の向上が望まれる。また、最新鋭のUAVなどの観測機材の調達も引き続き進めていく必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、前年度に引き続きリモートセンシングの強化のための研究開発を進めていく。特に、UAVを用いた観測と解析、マルチスペクトルデータの解析技術の向上を目指す。UAVなどの観測機材を整備するとともに、フライトに関する最新基準遵守のための資格取得なども行う。加えて、GISを用いた結果の可視化も進める。そのための研究員(非常勤)の雇用も行う。
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